コスパ最強!近鉄特急 青のシンフォニー乗車記【青のシンフォニーで行く日帰り吉野旅行①】

近鉄が誇る観光特急「青のシンフォニー」号で吉野に行きました。「青のシンフォニー」号は、もともと通勤列車だったものを改造した車両ですが、かなり念入りに改造されており、名前負けしていません。車内サービスも素晴らしく、軽食を食べることもできます。座席は、インターネットからも予約可能です。

 

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(「青のシンフォニー」号、吉野駅にて)

・「青のシンフォニー」号の紹介

「青のシンフォニー」号は、近畿日本鉄道 (近鉄) の阿部野橋駅―吉野駅間を走る特急列車です。近鉄の特急列車には大きく分けて2つのタイプがあり、都市間を連絡するものと観光特急の性格の強いものに分類できます。近鉄は長大な線路網を生かして、多様な都市間連絡特急を走らせており、特急同士の連絡も考慮されています。この特急ネットワークにより、近鉄沿線の主要都市は快適に移動することができます。近鉄特急のほとんどはこの都市間連絡特急ですが、近鉄にはいくつかの観光特急も存在します。有名なのは「しまかぜ」号で、大阪・京都・名古屋と伊勢志摩地方を結んでいます。豪華なサービスでその名をとどろかせています。「青のシンフォニー」号も同じく観光特急で、「しまかぜ」号に比べて知名度は劣るかもしれませんが、サービス内容は負けていません。

 

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(2号車の「ラウンジカー」は、窓が小さく切られています)

 

 「青のシンフォニー」号は3両編成で、そのうち1両は、食堂車的な使い方をする「ラウンジカー」です。そのため、定員としては2両分しかなく、座席定員は65人ほどしかありません。座席は2+1のゆったりとした配置です。料金は特急料金520円に特別車両金210円が加算されて、乗車券+720円かかりますが、この価格でJRのグリーン車並みかそれ以上のサービスを受けることができるので、かなりお得だと思います。近鉄特急はネット予約も可能なので、全国から予約することができます。したがって、「青のシンフォニー」号は、休日ともなると、満席になることが多いようです。近鉄特急は乗車日の1か月前から予約可能になるので、「青のシンフォニー」号に乗車される方は、早めに予約されることをお勧めします。

 

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(丸い窓が印象的です)

 

私は休日に乗車しましたが、3週間ぐらい前に予約したので、まだ空席に余裕がある状態でした。「青のシンフォニー」号には、一般座席にあたる「デラックス席」のほかに、2人が向かい合わせになった「ツイン席」、ボックスタイプの「サロン席」があります。ただし、「ツイン席」と「サロン席」は駅窓口での販売のみで、ネット予約では「デラックス席」のみの取り扱いなので注意が必要です (のはずだったのですが、2020年1月現在、システムがアップデートされて「ツイン席」と「サロン席」もネット予約できるようになっていました)。といっても、「デラックス席」も十分満足できる座席だと思います。

 

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(高級感のあるソファーです)

 

 3両のうちの真ん中の2号車は「ラウンジカー」になっています。「ラウンジカー」には、自由に使えるラウンジスペースと、飲食物やお土産物を買うことができるカウンターが設けられており、カウンターで飲食物を買って食堂車のようにして使うことができます。「青のシンフォニー」号の乗車時間は1時間とちょっとであり、そのレベルの乗車時間の列車に供食設備がついていることは驚くべきことだと思います。JRの特急列車では、乗車時間が2時間を超えるものも多いですが、東海道新幹線の「のぞみ」号と、東北新幹線などの「グランクラス」を除いて、車内販売がどんどん縮小されています。「青のシンフォニー」号がいかに贅沢で、気合が入っているかがわかるかと思います。

 

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(前面は、通勤列車の面影を残しているような)

 

 「青のシンフォニー」号が走る南大阪線吉野線は線路幅が 1067 mm の狭軌を採用しています。近鉄のほかの路線は、線路幅が 1435 mm の標準軌であり、線路幅の違いから、南大阪線吉野線系統の車両は他の路線に乗り入れることができません。したがって、近鉄の看板観光特急である「しまかぜ」号も南大阪線吉野線系統に乗り入れることができず、代わりに「青のシンフォニー」号が走っているというわけです。

 

・「青のシンフォニー」号で吉野へ

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(「一流の列車」という感じがします)

 

 今回私が乗車したのは、大阪阿部野橋駅10:10発、吉野駅行きの「青のシンフォニー」第1便です。吉野は桜の名所であり、桜の季節になるとかなり賑わうそうですが、今回は桜シーズンではなかったので、予約が取りやすかったのかもしれません。「青のシンフォニー」号は発車20分前には大阪阿部野橋駅に入線していました。濃い青色の車体が印象的です。車体側面には「Blue Symphony」のエンブレムが入っていました。「青のシンフォニー」号に使われている車両は、16200系と呼ばれるもので、もともと通勤型の6200系を改造したものですが、その面影さえ感じさせません。「ラウンジカー」は窓が小さくなっていたり、車体の接続部は装飾が施されていて、改造にも力が入っています。

 

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(座席は緑を橋とした落ち着いたデザインです)

 

 車内に入って、自分の席に着きます。座席は緑色を基調としたデザインです。テーブルは厚みのある木目調のデザインで、前の座席から取り出すものと、ひじ掛けから取り出すものの2つを利用することができます。「ラウンジカー」を利用しなくても、自分の座席で食事をすることも十分可能のようです。また、物販カウンターの方によると、食事は自分の席に持ち帰って食べてもかまわないそうです。

 

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(テーブルは2つ利用できます)

 

 列車の発車前に「ラウンジカー」に移動して、席を確保しました。物販カウンターは列車発車と同時に営業を開始します。列車発車後、早速ケーキセットを注文して、ラウンジでいただきました。「青のシンフォニー」号はもともと通勤列車であるため、走行中はそれなりに揺れますが、そこは考えられていて、コーヒーカップにはフタがつけられていました。

 

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(おいしそうなショートケーキをいただきました)

 

列車に揺られながらケーキとコーヒーをいただきました。令和に時代になって、食堂車 (的な車両) で食事を楽しむことができるなんてありがたいことです。ラウンジスペースはフリースペース扱いなので、物販スペースで買った食事をする場合以外でも利用することができますが、混雑してきたので、自分の席に戻ることにしました。列車全体でも65人ほどしかいないはずですが、それでも「ラウンジカー」が混雑するということは、やはり「ラウンジカー」や供食サービスが魅力的であるということだと思います。

 

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(ラウンジカーの様子、見方によっては食堂車のようです)

 

 自分の座席に着くと、座席がしっかりしたつくりであるためか、列車の揺れはそれほど気になりません。「青のシンフォニー」号は大阪阿部野橋駅を出発すると、奈良県葛城市の尺土駅まで走り、尺土駅からは奈良県内の駅にこまめに停車していくというダイヤです。奈良県に入ると、橿原神宮前駅や飛鳥駅のあたりは街中を走りますが、それを過ぎると人家がまばらになってきて、旅情が高まってきます。終点に近づくと列車は吉野川に並走しますが、最後に大きくカーブして川を渡り、吉野駅に入ります。吉野駅には11:26の到着です。

 

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(吉野川を渡るとすぐに終点の吉野駅です)