「藍よしのがわトロッコ」号は、徳島線の観光列車で、快速列車として運転されています。窓ガラスのない開放的なトロッコ車両で、吉野川の景色を楽しむことができます。
・「藍よしのがわトロッコ」号に乗車
「藍よしのがわトロッコ」号は、徳島線を走る観光列車で、2020年の10月にデビューしました。吉野川流域で古くから栽培された藍をキーワードにして、徳島線沿線の歴史、食、文化をアピールする列車です。車体色は白から深い藍色 (かち色) へと染まる3色のグラデーションで、ヘッドマークの「藍」は、徳島県阿南市在住の書家である天羽汕景（あもうさんけい）氏による書です。運転日は、春から秋にかけての土日で、トロッコ列車ということもあり冬場の運転はありません。
(車体は白から藍へのグラデーションです、阿波池田駅にて)
使用車両はキクハ32形で、これは運転台あり、動力源なしというタイプの車両で、1997年から製造されたものです。主に予土線で使われていましたが、「藍よしのがわトロッコ」号を運転するにあたって、1両が徳島線にやってきました。牽引にはキハ185系が充てられ、乗客はキハ185系とトロッコ車両であるキクハ32形の、同じ座席番号の両方の座席を利用することができます。予土線の「しまんトコッロ」号は、控え車両が自由席でトロッコ車両のみ指定席ですが、こちらはどちらも指定席です。トロッコ列車は窓ガラスがなく、風を浴びながら走るので、天候によっては控えのキハ185系のほうで休むことができないとつらいです…。
(控えのキハ185系も3色のグラデーションに塗られています)
「藍よしのがわトロッコ」号は10：28に多くの方に見送られて徳島駅を出発しました。この時点ではトロッコ車両は閉鎖されており、トロッコに乗車できるのは途中の石井駅から終点の阿波池田駅までの間です。20分ほど走ると石井駅に到着し、乗客はトロッコ車両に移ります。この辺りはまだ吉野川から遠くを走っており、沿線には田園風景が広がります。しばらくすると、受験生の学業成就のお守りで有名な学駅に到着しました。この駅って徳島線にあったのですね！添乗員さんが、学駅をはじめ、沿線のいろいろなことを解説してくれます。
「藍よしのがわトロッコ」号では、地元の協力の下で車内販売が行われており、地元のお菓子や飲み物を買うことができます。私もどら焼きとコーヒーをいただきました。地元のものを味わえるのはこのようなアットホームな観光列車ならではですね。
学駅を過ぎると、すぐに吉野川と並走するようになります。徳島線は基本的に吉野川の右岸を走るので、「藍よしのがわトロッコ」号に乗車するなら、下りなら進行右側、上りなら進行左側がおすすめです。
貞光駅では数分間の停車があったので、いろいろな角度から「藍よしのがわトロッコ」号を撮影することができました。座席に座って景色を眺めるだけだとどうしても退屈してしまうので、このような時間があるとありがたいですね。貞光駅は剣山の登山口の駅でもあります。ちなみに、特急「剣山」号の停車駅でもあります。
(「藍よしのがわトロッコ」号の背面)
貞光駅を出てからも、しばらくは吉野川と並走します。佃駅で土讃線の線路と合流すると、終点の阿波池田駅まではもうすぐです。佃駅は普通列車しか停車しない小さな駅なので、実質的には特急停車駅である阿波池田駅が土讃線と徳島線との合流地点になります。
佃駅―阿波池田駅間では、「歓迎 四国まんなか千年ものがたり」という看板を見ることができます。この区間では「四国まんなか千年ものがたり」号も走ります。阿波池田駅以西も土讃線は吉野川と並走しますが、「藍よしのがわトロッコ」号での旅はここまでです、12：59阿波池田駅着。
