東京から大津に帰省する途中、大井川鉄道に寄り道し、SLに乗車しました。大井川鉄道はSLの動態保存に取り組んでいる鉄道会社として有名です。1年を通してほぼ毎日SLが運転される日本で唯一の鉄道であり、また、旧型客車によって運転されている点も注目に値します。今回私が乗車したのは、昭和20年代製造の客車で、床は板張りであり、本格的なレトロさを味わうことができました。大井川本線と井川線は、ほぼ全区間にわたって大井川に並走しており、大井川の美しい車窓を楽しむことができます。
大井川鉄道を観光する場合には、新金谷駅からSLに乗車して千頭駅まで行き、そこでSLの転車作業を見学したりするか、井川線まで足を延ばしてアプト式鉄道の旅を楽しむという方が多いものと思われます。しかしながら、この旅程を日帰りでこなすのはかなり難しく、一泊以上するのが一般的と思われます。そこで、今回は大井川本線途中の川根温泉笹間渡駅で下車し、川根温泉を堪能しつつ、大井川を渡るSLを撮影しようと考えました。この旅程ならば1日で温泉・大井川鉄道・SLを満喫することができます。
・金谷→新金谷
10:14金谷駅着。金谷までは、青春18きっぷを使って、JR東海道線の普通列車できました。東京駅6:30発の普通列車に乗ると、この時間に金谷まで来ることができます。JRの金谷駅と大井川鉄道の金谷駅は乗り換え改札でつながっていました。乗り換え改札の窓口で「川根温泉ふれあいの泉クーポン」を購入しました。
この切符は、金谷駅-川根温泉笹間渡駅の往復券と川根温泉ふれあいの泉の入浴券がセットになった切符で、1820円です。金谷駅―川根温泉笹間渡駅の往復運賃が1820円、川根温泉ふれあいの泉の入湯料金が510円なので、金谷駅―川根温泉笹間渡駅の往復運賃だけで温泉にも入ることができるということになります(行きのみ新金谷まで歩いたので、新金谷駅―川根温泉笹間渡駅の券 (1640円) を買い、帰りの新金谷駅―金谷駅150円を別に払ったほうが節約できましたね…)。この切符は金谷発だけでなく、新金谷発、駿河徳山発、千頭発のものも発売されているので便利です。
大井川鉄道はSLをほぼ毎日走らせていることで有名ですが、経営は苦しいらしく、列車の運転本数はかなり絞られています。金谷駅始発の列車を待つのではなく新金谷駅まで歩けば、新金谷駅を列車が出発するまで、駅併設の博物館「プラザロコ」を見学する時間が取れそうです。
金谷駅のコインロッカーに荷物を預けて、駅舎を出ました。金谷駅―新金谷駅は列車で5分ですが、線路が迂回しており、徒歩でも行くことができます。金谷は、かつては金谷宿と呼ばれ、東海道の宿場町として栄えた町のようです。機会があればこちらにも行ってみたいですね。
20分ほど歩くと大井川鉄道の線路が見えて、新金谷駅に着きました。新金谷駅の駅舎はレトロな雰囲気です。ちょうど、かつての近鉄特急、16000系電車が踏切を通過しているところでした。大井川鉄道の普通電車は全て他の私鉄の中古車両です。現在みられるのは、元近鉄16000系の他に、元東急7200系、元南海21000系「ズームカー」です。
・プラザロコ
新金谷駅を出発するまで30分ほどあったので、駅の隣にある「プラザロコ」に行きました。プラザロコは、SL乗車券の引換窓口、売店、博物館などが入った複合施設です。大井川鉄道のSLに乗車するには、事前にSL急行券 (800円) を購入する必要があります。プラザロコはその発券所となっています。ここでは、新金谷駅発と千頭駅発SL急行券の発行、予約した切符の受け取りができるようです。ただし、途中駅 (家山駅・川根温泉笹間渡駅・下泉駅) から乗車する場合は、SL急行券の予約ができず、車内での精算となります。今回私は川根温泉笹間渡駅からSLに乗車しましたので、この発券所はスルーしました。売店では駅弁や限定販売のお土産を買うことができます。年末ということもあり、2019年のカレンダーが多数販売されていました。また、展示スペースにはSLや井川線の客車が展示されていました。ボリュームある展示内容であるにもかかわらず、無料な点もうれしいところです。
SLは2両あり、1両は一畑鉄道の「いずも」、もう1両は日本ステンレス直江津工場の専用線で活躍していた1275機ということだそうです。その他、様々なSLの模型やジオラマもありました。また、奥にはキッズスペースがあり、プラレールのセットが組んでありした (入る勇気はありませんでしたが…)。
11時ごろに新金谷駅に入りました。構内踏切を通ってホームに移動します。ホームには先程の近鉄16000系が停まっていました。金谷方面に向かうようです。ホームの端からSLを見ることができたのでここぞとばかりに撮影させていただきました。