西鉄天神大牟田線連続立体交差事業とレールキッチンチクゴ【レールキッチンチクゴ太宰府駅入線ラストラン①】

THE RAIL KITCHEN CHIKUGO (レールキッチンチクゴ) 西日本鉄道が運行する観光列車です。現在は福岡(天神)駅発着または福岡(天神)駅発大牟田駅行きで運転されており、天神大牟田線の上だけを走っていますが、2022827日までは大宰府線にも入線していました。

 

(福岡(天神)駅に停車するレールキッチンチクゴ)

西鉄天神大牟田線連続立体交差事業とレールキッチンチクゴ

 西鉄天神大牟田線は、福岡市の繁華街に位置する福岡(天神)駅と福岡県南部の大牟田駅を結ぶ路線です。福岡(天神)駅―大牟田駅間は74.8 km で、最速達の特急列車はこの区間を約1時間で結んでいます。福岡(天神)駅―大牟田駅間の都市間輸送だけでなく、福岡市近郊では都心部への通勤通学路線としても機能しています。福岡(天神)駅―二日市駅間では、特急・急行・普通の3種別を合わせると、最も多い時間帯で1時間に15本以上の列車が運転されています。

 

(多数の列車が行きかう西鉄天神大牟田線)

 

 福岡市近郊では、多数の列車が運行されることから、踏切の遮断時間が長く、交通渋滞の原因になっていました。そこで、福岡市近郊の春日原駅下大利駅間では連続立体交差事業がすすめられ、2022828日から、この区間は高架化されました。これにより、この区間の踏切は解消され、交通渋滞は大きく改善しました。

 

(高架化に伴って新駅舎が建設中の春日原駅)

 

 連速立体高架事業の前後で、天神大牟田線のダイヤには大きな変化は起こっていません。一方で、この区間を走る観光列車「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO (レールキッチンチクゴ)」には大きな変化がありました。

 

(太宰府駅に停まる「レールキッチンチクゴ」)

 

 連続立体交差事業前のレールキッチンチクゴには、福岡(天神)駅発太宰府駅行きの便と、福岡(天神)駅―大牟田駅間の便がありました。福岡(天神)駅―大牟田駅間の便ではレストラン列車としてコース料理が提供されるのに対して、福岡(天神)駅発太宰府駅行きの便はカフェ列車として運転され、比較的安価に楽しむことができました。

 

(窓をつぶすなど手間をかけて改装した側面)

 

 大宰府は福岡を代表する観光地であり、この便を利用すればレールキッチンチクゴを利用した後に大宰府をゆっくりと観光することもできます。一方で、この便は乗車時間が1時間足らずと短く、大宰府へ行く観光客にあまり知られていないのか、乗車率が低くなりがちでした。料金も料理付きの観光列車としては破格に安かったため、収益面で苦しかったのかもしれません (この手の観光列車は路線の広告塔的な側面があり、列車単体で黒字になっているものはあまりないとも言われていますが…)

 

(一流観光地の大宰府!)

 

 レールキッチンチクゴの大宰府線入線は2022827日をもって最後となり、連続立体交差化後の20229月からは、福岡(天神)駅発着または福岡(天神)駅―大牟田駅間の運転となり、天神大牟田線上のみで運転されるようになりました。今回は、レールキッチンチクゴがカフェ列車として大宰府線に入線する最後の便に乗車した様子を記事にまとめました。

 

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(↑こちらは以前に乗車したときの記事です)

 

3000形「旅人」編成とならんで出発

 レールキッチンチクゴは福岡(天神)駅から出発するので、まずは福岡(天神)駅に向かいます。この日は連続立体交差化前の最後の日でもあるので、春日原駅はまだ地上ホームでした。高架ホーム真下の地上ホームの景色が見られるのも今日が最後です。急行で福岡(天神)駅まで向かうのですが、やってきたのは3000形「旅人」編成でした。

 

(この日は春日原駅下大利駅間地上線最後の日でもあります)

 

この列車は西鉄3000形電車に大宰府をイメージしたラッピングと内部装飾を施した編成で、その名前は大宰府に役人として赴任した歌人である大伴旅人に由来しています。「旅人」号は福岡(天神)駅発太宰府駅行きの直通急行か、二日市駅太宰府駅間の普通として運転されることが多いですが、天神大牟田線内の急行や普通として運転される場合もあります。

 

(折り返し便は急行太宰府駅行きになるようです)

 

 「旅人」号で福岡(天神)駅に着くと、すでにレールキッチンチクゴが入線しており、両者が福岡(天神)駅に並ぶことになりました。たまたまかもしれませんが、レールキッチンチクゴの大宰府線ラストランに向けて粋な演出ですね!

 

(「旅人」と「レールキッチンチクゴ」の並び)

 

 レールキッチンチクゴは、西日本鉄道が誇る看板の観光列車であり、内装はもちろんのこと、料理のメニューも季節ごとに入れ替えるなど、利用者を飽きさせない工夫が凝らされています。一方で、乗車率はいま一つのようで、3両編成で座席数がそれほど多くないにもかかわらず、空きのある日が多いです。

 

(いつもは空きがちの太宰府駅行きも今日は満席でした)

 

特に「カフェ列車」として運転される福岡(天神)駅発太宰府駅行きの便は空きが多く、たいていの場合当日でも席が取れました (レールキッチンチクゴの当日利用が制度上可能だったのは太宰府駅行きのみで、これ以外の便は20229月のリニューアル前から運行数日前に予約が必要でした。現在は全便乗車2日前までに予約が必要です)。ただし、さすがにこの日は大宰府線入線ラストランということで、この便も満席になっていました。

 

(「旅人」は先に出発していきました)