福岡市内の交通と西鉄バス【100円で行く福岡市内バスの旅①】

福岡市は飛行機や新幹線・在来線特急といった都市間交通の結節点であるほか、都市県内の公共交通ネットワークも充実しています。ただし、首都圏や京阪神圏で公共交通の主役を担うのが鉄道であるのに対し、福岡市では「西鉄バス」が公共交通ネットワークの主役です。

(西鉄バスが誇る大容量の連節バス)

 

・福岡市の交通事情

 福岡市は人口約160万人を誇り、横浜市大阪市名古屋市、札幌市に次ぐ日本で5番目の人口を持つ政令指定都市です。福岡市は山陽新幹線九州新幹線ターミナル駅である博多駅を有し、九州の経済・交通の中心地であることはもちろん、都心部近くに福岡空港を持ち、日本全国・海外からの人の流れがあります。また、両者は地下鉄空港線によって約5分で結ばれており、さらに博多と並ぶ繁華街である天神とも連結されています。このように、中心繁華街である天神、鉄道の玄関口である博多、空の玄関口である福岡空港が、地下鉄によって連結されているというのが、交通面から見た福岡市の姿です。

 

(福岡空港都心部に近いため、舞鶴公園からも飛行機が大きく見えます)

 

 首都圏や関西圏ではJR、私鉄、地下鉄による鉄道ネットワークが充実しており、これらを駆使すればたいていのところには行けてしまいます。それと比較すると、福岡都市圏では、地下鉄が空港線七隈線貝塚線3路線、私鉄が西日本鉄道 (西鉄) 1社のみであり、鉄道ネットワークが見劣りしている感は否めません。

 

(多くの人がバスを待つ博多駅バスターミナル)

 

 福岡都市圏において、公共交通ネットワークの中核を担うのは鉄道ではなく西鉄バス (←「バス」ではなく「西鉄バス」!) です。西鉄バスは、西日本鉄道が展開するバス事業ですが、西日本鉄道は単体で1800台以上、グループ全体で2700台以上のバスを保有する日本最大級のバス事業者であり、福岡市は日本有数の多数のバスが走っている都市ということになります。また、福岡市内には網の目のように西鉄バスの路線が張り巡らされており、福岡市の公共交通は西鉄バスによって支えられているといえます。

 

(博多市内の路線のほぼ南端に位置するJR南福岡駅)

 

 福岡市とその周辺部には福岡高速道路 (福岡都市高速) が整備されています。西鉄バスでは、高速バスではない一般の路線バスが都市高速を走ることも大きな特徴です。一般的に、高速道路では乗客全員にシートベルトの着用が義務付けられていますが、福岡高速道路上では、時速 60 km 以下で走行することを条件に、路線バス用の車両が走行することが認められています。西鉄バスの一般路線バス車両には (路線バスではそれが当たり前ですが)、そもそもシートベルトが装備されていません。

 

(福岡市東部に位置する香椎宮)

 

 このように、福岡市民にとって、最も身近な公共交通機関西鉄バスです。また、福岡の外から来る観光客にとっても、西鉄バスを使いこなすことで、福岡の楽しみ方が大きく変わることでしょう。

 

西鉄バス「お得なきっぷ」事情

 西鉄バスは基本的には距離別運賃ですが、博多・天神をはじめとする福岡市の中心部では150円均一で乗車することができます。また、西鉄バスでは複数の「お得なきっぷ」が発売されています。

 「福岡市内1日フリー乗車券」は、西鉄バスの主なバスターミナルと営業所の窓口で販売されており、1000円で福岡市内を走る路線バスに1日何度でも乗車することができます。スマホアプリ「my route」からでデジタル乗車券として購入することもでき、この場合は価格が900円になり、福岡市内の路線バスに24時間乗車することができます。デジタル乗車券の場合は6時間券を600円で購入するという選択肢もあります。

 

(博多湾に面する福岡タワー)

 

 「福岡市内+大宰府ライナーバス「旅人」フリー乗車券」は、その名の通り、福岡市内の路線バスに加え、大宰府ライナーバス「旅人」に1日何度でも乗車できるフリー切符です。こちらも、窓口で買うと1600円、「my route」から買うと1500円と購入価格が異なるほか、「my route」から買うデジタル乗車券の場合は24時間乗り放題になります。

 

(ららぽーと福岡にはJR博多駅西鉄大橋駅から西鉄バスが便利です)

 

 路線バスは普段使わない方にはどのバスに乗ればよいかわかりにくいですが、「にしてつバスナビアプリ」を利用すれば、どのバスに乗ればよいかわかりやすく教えてくれます。「西鉄バスナビアプリ」は停留所名だけでなくスポット名での検索や現在地からの検索に対応しているほか、バスの現在地をリアルタイムで表示してくれます。路線バスは道路事情の影響を受けやすいため、どうしても時刻表どおりに運行されないものですが、「にしてつバスアプリ」のバス現在地情報を駆使すれば、自分の乗りたいバスが今どのあたりを走っているか簡単に知ることができます。

 

(「にしてつバスアプリ」を駆使すれば博多駅の複数のバス停を使いこなすことができます)

 

 西鉄バスでは、202341日から49日まで、「新生活応援キャンペーン」として「福岡市内1日フリー乗車券」を「my route」限定で100円で販売していました (通常窓口価格の9割引!)。今回は、これを利用して、西鉄バスを使った「福岡市内バスの旅」の様子を紹介したいと思います。今回の旅程は、通常の「福岡市内1日フリー乗車券」 (1000) を使った場合でも十分にお得です。