「カゴシマシティビュー」で仙厳園へ【1泊2日JR九州周回の旅④】

仙厳園は鹿児島中央駅から少し離れていますが、「カゴシマシティビュー」でアクセスできますし、島津氏の歴史に触れられる素晴らしい場所です。

 

(建物自体も趣ある仙厳園)

・「カゴシマシティビュー」でまずは仙厳園(せんがんえん)へ

 この日は平日だったので、8時に鹿児島中央駅を降りると、通学の高校生や通勤の大人たちで駅前は混雑していました。観光案内所はちょうど8時からなので、開所と同時に入って「キュート」を購入します。ついでに「カゴシマシティビュー」の乗り場を聞くと、親切に教えてくださいました。鹿児島中央駅の駅前は、バス乗り場と路面電車の停留所が集まっていてなかなか立派です。

 

(鹿児島中央駅前のバスターミナルにはたくさんのバスがいます)

 

カゴシマシティビュー」の第1便は830なので、それまで駅前を観察していると、路面電車からたくさんの通勤客が吐き出されていました。さすがは九州第4の都市!一方で、目線を変えると桜島の噴煙が見え、市街地から活火山が活動しているところを見られるのも鹿児島市ならではの魅力です。

 「カゴシマシティビュー」の第1便がやってきたので早速乗車します。「カゴシマシティビュー」は観光客の利用を意識したオシャレな外観で、鹿児島市交通局が運行するほかの路線バスとは印象が大きく異なります。外観で差別化を図るのは、仙台市の観光客向け周遊バス「るーぷる仙台」と共通していますね。

 

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カゴシマシティビュー」に乗って、まずは仙厳園(せんがんえん)に向かいます。「カゴシマシティビュー」は一方向(時計回り(?)、路線図参照のこと)の運転なので、1日で「カゴシマシティビュー」を使って鹿児島市を観光する場合、似たような行程になると思います。仙厳園は「カゴシマシティビュー」の行路のうち最も北側にあり、他の路線バスでは行きにくいので、公共交通機関で仙厳園に行くには「カゴシマシティビュー」か、いわさきコーポレーションによる周遊バス「まち巡りバス」を利用することになるでしょう。ちなみに、仙厳園はJR日豊本線の線路沿いにあります。鹿児島駅からも竜ヶ水駅からも離れており、鉄道によるアクセスには難があるのですが、将来は仙厳園アクセス向けの駅が開業するそうです。

 

(名勝仙厳園)

 

 「カゴシマシティビュー」は、鹿児島城址西南戦争終焉の地である城山など、西郷隆盛ゆかりの観光地を巡りつつ北に進み、約50分で仙厳園に着きます。

 

・仙厳園(せんがんえん)を見物

 仙厳園は1660年頃に、薩摩藩の別邸として建設されました。その後、島津氏の歴代当主によって受け継がれ、第二次世界大戦後には一時鹿児島市の管理下に置かれましたが、1957年には再び島津氏に返還されました。現在では島津氏が社長を務める島津興業の所有になっており、一般公開されています。また、桜島を借景とする庭園の景色は見事なもので、国の名勝にも指定されています。園内にある反射炉跡は、世界文化遺産明治日本の産業革命遺産」の構成資産にもなっています。

 

(反射炉跡)

 

 そんな仙厳園の中に入ってみましょう。入場料は庭園と尚古集成館のみの場合1000円、御殿にも入る場合は1500円です。ここは御殿を見るべきだと思い、1500円のほうを購入しました。中に入るとすぐに「明治日本の産業革命遺産」を解説するための施設があり、それを抜けた先に反射炉跡がありました。反射炉とは、燃焼室で発生した熱を天井や壁で反射させて炉床に集中し、この熱で鉄の精錬を行うことに由来する名前なのですが、建物が残っていないのでイマイチぴんと来ないですね…。軽く見物して奥に進みます。

 

(門にはしっかり島津氏の家紋が入っています)

 

 順路には売店などがあり、観光客が休憩したりお土産を買ったりするのにはちょうどよさそうです。さすがは営利企業が所有しているだけはありますね。さらにその先には御殿と庭園があります。御殿とは大名や貴族などの生活の場であり、往時の上流階級の暮らしぶりを感じることができます。仙厳園の場合は別邸ですが、当時からある建物のほか島津家伝来の調度品が数多く残されており、島津家の暮らしぶりを体感することができます。また、桜島を借景とする庭園の景色は見事なものです。庭園からは桜島を正面に見るような形になり、この場所に仙厳園があるのも納得です。

 

(島津氏の家紋がちりばめられた調度品)

 

 現在の御殿は、明治時代に島津家の人々が鹿児島城からこちらに移った時に改築されたもので、その当時の約3分の1の建物が現存しています。その後も、代々の所有者が生活した関係で所々改築されているようですが、それはそれで歴代の所有者の生活の後が感じられる建物になっています。御殿には、1000円の入場券を買った方でも、後払いで500円追加で払えば入ることができるようです。

 

(趣のある廊下)

 

 内部には、島津家の丸十紋があしらわれた調度品があったりして、島津氏の威光が感じられました。応接のための「謁見の間」には、畳の上に椅子が並べられており、明治時代に入って西洋の生活様式を取り入れたことがわかります。椅子の脚は先端が広がっており、畳が傷まないように工夫しているようです。また、照明器具は当時からあるもので、当初は水力発電によって起こした電気を引いていたそうです。中庭にも池があり、当時から水が豊富だったことがうかがえます。また、庭園からは当たり前のように桜島が見え、室内からの景色も素晴らしいものでした。

 

(趣のある机と照明器具)

 

 御殿を出ると、まだ奥に進むことができます。庭園の裏側といったようなところですが、こちらは高台になっており、高い位置から桜島のほうを見ることができます。桜島のほうに目を向けると、本土側と島を行き来する桜島フェリーを見ることができました。桜島フェリーはなかなかの高頻度で運転されており、本土と島の間で休むことなくお客さんを運んでいます。

 

(反航する桜島フェリー)

 

 このあたりが仙厳園の一番奥側ですが、ここからさらに山のほうに進むこともできます。こちらはあまり人の手が入っていないような感じで、たくさんの植物が茂っていて興味がありましたが、バスの時間もあるので引き返すことにしました。この時は尚古集成館は工事中で公開されていませんでしたが、工事が終わればこちらも見られるようです。尚古集成館は仙厳園の出入り口を出てすぐのところにあります。

 

(仙厳園の建物越しに櫻島)