「るーぷる仙台」で瑞鳳殿へ【週末パスで雪の南東北へ②】

仙台市が運行する観光向けの周遊路線バス「るーぷる仙台」を利用すれば、瑞鳳殿仙台城址などの仙台の観光スポットを効率的に回ることができます。

 

(黒地に金箔で飾られた瑞鳳殿)

 

仙台市のフリーパス事情

 仙台市では市営バスと市営地下鉄が運転されており、観光に便利なフリー乗車券も多数販売されています。地下鉄一日乗車券は、その名の通り、仙台市営地下鉄を一日何回でも乗車できるものです。仙台市営地下鉄には南北線東西線があり、二つの路線が仙台駅で交差するように運転されています。初めての人でもわかりやすいですね。地下鉄一日乗車券の価格は平日840円、休日620円で、休日のほうが安く設定されており、観光客にはありがたいですね。

 市バス一日乗車券というのもあり、これもその名の通り、市バスに一日乗り放題になります。市内区域券650円と近郊区域券1000円の二種類があり、旅程によって使い分けたいところですね。しかし、市街地で多数運行されている路線バスというのは、不慣れな人にはどれに乗ればいいのかわかりにくいものです。

 

(るーぷる仙台はいかにも観光用という見た目で分かりやすいです)

 

 仙台市では、この問題を解決し、観光客に特化した循環バスである「るーぷる仙台」が運行されています。「るーぷる仙台」は仙台市の主な観光地を網羅した循環バスで、市街地を1周約80分で時計回りに回ります。車両はオシャレな外観の専用車両で、平日は30分間隔、休日は20分間隔で運行されます。「るーぷる仙台」は1回乗車260円で、「るーぷる仙台一日乗車券」は630円なので、2スポット回るために3回乗車するのであれば「るーぷる仙台一日乗車券」の方がお得です。「るーぷる仙台」は一方通行なので、2スポット回るとなると旅程があらかた決まってしまいますね。「るーぷる仙台」と地下鉄が乗り放題になる「るーぷる仙台・地下鉄共通一日乗車券」も920円で発売されています。ちなみに、「るーぷる仙台一日乗車券」では「るーぷる仙台」以外の市バスに乗ることはできず、市バス一日乗車券では「るーぷる仙台」には乗車できません。

 

(仙台観光で瑞鳳殿は訪れておくべきでしょう)

 そのほかにも、仙台近郊のJR線が1日乗り放題になる「小さな旅ホリデーパス」や、仙台近郊のJR線、地下鉄、バスなどが2日間乗り放題になる「仙台まるごとパス」などもあります。旅程に合わせて使いこなしましょう!

 

・伊達家三藩主が眠る瑞鳳殿

 今回は仙台に1泊して翌早朝に山形に出発する予定で、松島も見物したかったので、仙台観光は軽めにしようと思いました。そんな時は「るーぷる仙台」が最適です。仙台駅の営業所で「るーぷる仙台一日乗車券」を買い、「るーぷる仙台」に乗車します。仙台駅から15分ほどで、最初の目的地である瑞鳳殿 (ずいほうでん) に到着します。

 瑞鳳殿伊達政宗の霊廟です。伊達政宗1636年に70歳で亡くなり、瑞鳳殿はその遺言に従って経ヶ峯に造営されました。伊達政宗は東北を支配した戦国大名ですが、豊臣秀吉に従属してからは上方での暮らしも長く、東北に上方文化を持ち込んだ人物でもあります。新しいモノ好きの伊達政宗から「伊達者」という言葉が生まれたという説もあります。

 

(瑞鳳殿の拝殿は奥まで見通せるようになっており、こういうところもお洒落ですね)

 

 瑞鳳殿はそんな伊達政宗が眠る霊廟だけあり、桃山文化を伝える豪華な造りになっています。外装は黒地に金箔の装飾が施されています。黒地に金は豊臣秀吉が好んだともいわれており、豊臣氏ゆかりの大名の城が黒いのもこれが理由です。瑞鳳殿にも豊臣秀吉の好みが反映されているのかもしれません。

瑞鳳殿は戦前には国宝でしたが、1945年に戦災で焼失し、現在のものは1979年に再建されたものです。現在は伊達忠宗の感仙殿 (かんせんでん)伊達綱宗の善応殿 (ぜんのうでん) などとともに、経ヶ峯伊達家墓所として仙台市指定史跡になっています。

 

(バスを降りると上り坂になっていました)

 

 バス停を降りると前日までの雪が積もっており、瑞鳳殿まで登るのにも滑らないように注意が必要でした。白い雪で化粧した瑞鳳殿は、黒地に金箔の装飾に雪の白さが加わってとても美しいものでした。

 瑞鳳殿一体は「経ヶ峯伊達家墓所」として整備されており、時計回りに瑞鳳殿、善応殿、感仙殿と回るように順路が設定されています。感仙殿は仙台藩2代目藩主伊達忠宗の霊廟です。伊達忠宗伊達政宗の次男で、「忠」の字は徳川秀忠からもらったものです。

 

(感仙殿も黒地に金の桃山風の作りです)

 

 伊達政宗には忠宗の上に長男の秀宗がおり、健在でしたが、家督は忠宗が相続しています。これは、秀胸の名前からもわかるように、秀宗が豊臣氏との縁が深かったため、伊達家の存続を考えた政宗が秀宗を廃嫡にして忠宗を嫡男にしたことが理由です。伊達家は権力者から名前をもらうのが習わしのようですね。伊達秀宗大坂冬の陣の活躍で宇和島10万石を与えられ、宇和島藩を創設しています。ちなみに筆者は宇和島城にも登城したことがあります!

 

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 伊達綱宗仙台藩3代目藩主で、伊達忠宗の六男にあたります。綱宗の「綱」は例のごとく、4代将軍徳川家綱から拝領したものです。感仙殿も善応殿も黒地に金箔の装飾であり、雪化粧がとても美しかったです。もともとできた時代にずれがありますが、並べてみると似たような雰囲気になっているのは、再建されたタイミングが一緒だからでしょう。両者とも戦災で焼失し、昭和60年に再建されました。

 善応殿、感仙殿を見終わると、瑞鳳殿との分岐点に戻り、坂を下るとバス停に戻ります。再び「るーぷる仙台」に乗って、次の目的地である仙台城跡に向かいます。

 

(感仙殿と善応殿)