JR九州はいくつかのフリー切符を発売していますが、2020年7月、旅行需要刺激のために新たに「みんなの九州きっぷ」が発売されました。
(熊本から「みんなの九州きっぷ」を利用しました)
・ぐるっと九州きっぷ/旅名人の九州満喫きっぷ/みんなの九州きっぷ
フリー切符の王道と言えば「青春18きっぷ」であり、これは、JRの普通列車と快速列車が1日乗り放題であり、5回または5人分使用可能です。ただし、5回セットのみでの販売という縛りがあり、さらに重要な縛りとして、「特急列車に乗車する場合は特急券と乗車券が必要」というものがあります。言い換えれば、青春18きっぷで特急列車に乗車することはできません。青春18きっぷは国鉄の名発明品とも言われますが、分割民営化以降、JR各社が青春18きっぷの自社エリア完結版を発売しています。
(青春18きっぷは過去に何度も利用しました)
JR九州もその例に漏れず、いくつかのフリー切符を発売しています。もちろん青春18きっぷでJR九州管内を巡ることも可能ですが、JR九州に特有の事情として、特急列車が充実しており、一方で普通列車の本数が少ないことが挙げられます。これは、JR九州の多くのエリアでは大都市圏に比べて地元の需要が少なく、その対策として、JR九州がD＆S列車 (=観光特急) を推進しているためでしょう。この、特急列車が充実しているという特性に対応しているのが、「ぐるっと九州きっぷ」です。14800円で連続する3日間JR九州全線の普通列車と快速列車に乗車でき、さらに、特急券を購入すれば在来線の特急列車と新幹線に乗車することもできます。新幹線を駆使すれば3日間で九州中を巡ることができますし、D&S列車を利用すれば移動時間も楽しく過ごすことができます。
(JR九州では多数のD&S列車を運転しています)
JR九州は、九州新幹線の開通に伴って、鹿児島本線の川内―新八代間を経営分離しました。この区間は肥薩おれんじ鉄道として存続していますが、もはやJRではないので、青春18きっぷではこの区間を乗り通すことができません。この問題を解決するのが「旅名人の九州満喫きっぷ」です。11000円で3日間または3回分有効であり、JR九州と九州の私鉄列車の普通列車と快速列車 (と西日本鉄道の特急列車) に乗車できます。
(JR東日本の「週末パス」も多数の第三セクター鉄道に乗車できます)
新型コロナウイルスによって激減した旅行需要を取り戻すために、JR九州では2020年7月から期間限定で新たなフリー切符を発売しました。それが「みんなの九州きっぷ」であり、2020年12月までの発売でしたが、一部条件変更の上2021年3月末まで発売が延長されました。土日を含む連続2日間有効で、JR九州の普通列車・快速列車・特急列車・九州新幹線の自由席を利用できます。さらに、特急列車・新幹線の普通車指定席が6回まで追加料金なしで利用できます。
(特急列車の自由席を利用できる点はJR四国の「四国満喫きっぷ」と似ています)
全九州版と北九州版があり全九州版は12000円、北九州版は6000円です。全九州版は言わずもがなJR九州全線乗り放題であり、北九州版は九州新幹線の博多―熊本間と、三角線、鹿児島本線の宇土以北、豊肥本線を含む九州北部で利用できます。全九州版は「ぐるっと九州きっぷ」や「旅名人の九州満喫きっぷ」に比べて割高ですが、追加料金なしで新幹線と在来線の特急列車を利用できる点は魅力であり、使い方次第でさらにコストパフォーマンスを上げることができます。北九州版に至っては、上記の2つの切符よりも割安になります。2021年4月現在、新たな発売予定はありませんが、JR四国の「四国満喫きっぷ」のように、「期間限定」として登場しながらたびたび発売されてほしいものです。
(「みんなの九州きっぷ」と今回指定した指定席券)
今回私は九州を旅行するのが初めてだったので、「みんなの九州きっぷ」の北九州版を購入し、北九州版で回れる範囲に絞って旅程を組むことにしました。「みんなの九州きっぷ」はネット限定発売なので、あらかじめJR九州Webに会員登録し、サイト経由で購入しておきます。熊本駅で発券して、指定席の引換をしました。指定したのは「A列車で行こう」3号と6号 (熊本駅―三角駅の往復)、「ゆふ」1号 (久留米駅―由布院駅)、「ゆふいんの森」3号 (由布院駅―別府駅)、「あそぼーい」(別府駅―肥後大津駅) の5本です。「あそぼーい」を発券したときに、駅員さんが苦笑いしていたのですが、親子用の「くろちゃんシート」しか空いていなかったようです…。
