呉線の観光列車である快速「瀬戸内マリンビュー」号は、2019年12月22日で運行を終了します。今回は、この「瀬戸内マリンビュー」号に乗車しました。
(観光地としての尾道はかなり魅力的です)
・快速「瀬戸内マリンビュー」号
「瀬戸内マリンビュー」号は呉線の観光列車です。広島駅―三原駅間を、呉線経由で約2時間半から3時間で結んでいます。所要時間は普通列車を利用した場合とほとんど変わりません。また、この区間は山陽線経由でも移動でき、こちらは普通列車で1時間強で移動できます。山陽線の方が線形がよく、山陽線が複線であるのに対して呉線は単線なので、これは仕方がないですね。「瀬戸内マリンビュー」号が呉線の普通列車と所要時間が変わらないのも、列車行き違いのためにほとんどの駅で運転停止するためです。
(「瀬戸内マリンビュー」号は、いつもは広島―三原間の運転です)
使用されている列車はキハ47系で、これはJRのほかの観光列車でもよく使用されている形式です。「瀬戸内マリンビュー」号は、これらの観光列車に改造されたキハ47系の中でも、改造が簡易的な方だといわれています。例えば、「瀬戸内マリンビュー」号は2両編成ですが、1両が指定席、もう1両は自由席であり、自由席の方は一般的な普通列車からあまり変わっていません。また、このような観光列車には物販カウンターがあることが多いですが、「瀬戸内マリンビュー」号にはそのような設備はついていません。
このような事情のためか、「瀬戸内マリンビュー」号は、2005年の誕生から15年と比較的短い期間で運行を終了し、2020年から新しい観光列車「エトセトラ」に生まれ変わります (使用列車は同じキハ47系になるそうです…)。今回は、近々廃止されるこの「瀬戸内マリンビュー」号の乗車記です。
・尾道駅から乗車
(通常は三原―広島間の運転ですが、この日は尾道まで延長運転されていました)
今回は尾道駅から乗車しました。「瀬戸内マリンビュー」号は、運行される最後のシーズンということもあり、2019年の秋から冬にかけて、尾道駅まで延長運転を行っていました。尾道駅は観光列車「ラ・マルしまなみ」号の終着駅でもあり、2本の観光列車が発着する珍しい駅ということになります。「瀬戸内マリンビュー」号の尾道駅乗り入れは臨時のものですが、「ラ・マルしまなみ」号はもともと尾道駅まで運転される (臨時) ダイヤであり、尾道駅の駅舎も、どちらかと言えば「ラ・マルしまなみ」号の雰囲気に合わせて改装されていました (「瀬戸内マリンビュー」号も「ラ・マルしまなみ」号も臨時列車なのでややこしいですね)。
(尾道駅は観光地の玄関口にふさわしい作りです)
尾道はしまなみ海道を有するサイクリストの街であり、「ラ・マルしまなみ」の方が、尾道の「自転車」という要素を取り入れて計画されているのかもしれません。「ラ・マルしまなみ」に使用される観光列車「ラ・マル・ド・ボア」の車内には、競技用の自転車であるロードバイクが展示されています。「ラ・マル・ド・ボア」は岡山駅―尾道間の「ラ・マルしまなみ」号のほか、岡山駅―宇野駅間の「ラ・マルせとうち」号、岡山駅―琴平駅間の「ラ・マルことひら」号にも使用されています (「ラ・マル~」が3系統あり、「ラ・マルせとうち」ではなく「ラ・マルしまなみ」が尾道駅で「瀬戸内マリンビュー」と接続という想像を絶するややこしさです…)。
尾道駅14:02発。広島行きの「瀬戸内マリンビュー」号は、乗車時間がぎりぎり2時間台ですが、尾道駅まで延長運転することで乗車時間が3時間を超えます。3時間以上の間、物販や記念品配布などのイベントが何もないのは少し寂しい気がします。同じJR西日本の観光列車で、乗車時間が長い「あめつち」号では、物販カウンターがあるほか事前に予約すれば食事のサービスも受けられます。
今回私は尾道駅で乗車する前にお弁当とお菓子を買いましたが、これがおすすめだと思います。こんなレビューをしてみたところでもうすぐ廃止されてしまうのですけどね…。
(尾道駅でわっぱめしを買いました)
(開けるとこんな感じです)
・尾道→呉→広島
「瀬戸内マリンビュー」号は、三原駅から呉線に入ります。呉線は単線であるため、列車行き違いが多く、「瀬戸内マリンビュー」号は快速列車でありダイヤ上は停車駅が限られていますが、実際には多くの駅で運転停止をします。呉線は海沿いを走る区間が多く、瀬戸内海独特の「多島海」の車窓を楽しむことができます。
(養殖用の「いかだ」と島が瀬戸内海を象徴しています)
「瀬戸内マリンビュー」号は、海側がボックス席、山側がソファー席となっていて、どちらの側からも瀬戸内海の車窓を楽しむことができるようになっています。
(竹原駅にて記念撮影)
竹原駅では数分停車しましたので、ホームに出て写真を撮りました。「瀬戸内マリンビュー」号は、ヘッドマークなど所々簡易的な箇所が見られますが、前面の装飾や内装は手が込んでいます。内装は航海がイメージされているようで、羅針盤や舵の装飾がありました。
(舵の装飾)
(羅針盤もありました)
呉駅―広島駅間はノンストップ運転です。呉駅は市街地にも近く、指定席にも多くのお客さんが入ってきました。自由席では立ち客も出ていたようです。呉駅からの需要は通勤時需要が多く、「瀬戸内マリンビュー」号は「通勤ライナー」としての役割も果たしているようです。通勤ライナーとしてはかなり豪華です。
(乗車したときは真昼でしたがぼちぼち夕暮れです)
海田市駅で再び山陽本線に合流してからはスピードを上げ、広島駅まではそれなりのスピードで走ります。広島駅17:22着。いつもは「あっという間」ということが多いのですが、「瀬戸内マリンビュー」号に関しては十分な乗車時間でした。
(広島駅にて下車、「瀬戸内マリンビュー」を満喫しました)