「山陰めぐりパス」の旅 4日目② (観光列車「あめつち」で鳥取へ、「スーパーはくと」で大阪に帰還)

「山陰めぐりパス」の旅4日目の午後は、観光列車「あめつち」に乗車しました。「あめつち」では車内のもおもてなしが素晴らしいことはもちろんですが、車窓からこれまでの車窓を振り返ることができました。「あめつち」で鳥取駅に到着すると、若桜鉄道の観光列車「昭和」が停まっていました。鳥取駅からは「スーパーはくと」に乗車し、新大阪に帰りました。

 

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(「あめつち」、鳥取駅にて)

 

・「あめつち」で出雲市鳥取

 「山陰めぐりパス」の旅も最終日の午後、いよいよクライマックスです。ここからは、「山陰デスティネーションキャンペーン」に合わせて、JR西日本が2018年7月から運転を開始した観光列車「あめつち」に乗車します。使用される列車はキハ47系を改造したキロ47系の2両編成、瀬戸内マリンビュー○○のはなし花嫁のれんなどと同じ形式ですね。「あめつち」は「ネイティブジャパニーズ」をコンセプトとし、「あめつち」の由来は古事記の書き出しにある「天地 (あめつち) の初発 (はじめ) の時」から来ています。2019年2月までの運行計画が発表されており、土・日・月曜日を中心に鳥取出雲市間を1日1往復することが決まっています。快速列車として運転されていますが、全席グリーン車指定席のため、青春18きっぷでは乗車できません。が、「山陰めぐりパス」なら、グリーン車指定席券を追加購入すれば乗車することができます!「山陰めぐりパス」は、2018年7月豪雨の復興を支援するため、2018年12月23日まで発売が延長されています。ちなみに、「あめつち」にはテーマソングも設定されています。

 

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(「あめつち」側面のロゴ)

 

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(「あめつち」前面のエンブレム)

 

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(出雲市駅に停車中の「あめつち」)

 

 出雲市駅で一通り外装を撮影して、車内に乗り込みました。車内は海側が窓に向いたカウンター席またはボックス席、山側が2人対面のテーブル席になっており、私はカウンター席を予約しました。窓を向いているので正面で車窓を楽しむことができます。また、山側のテーブル席は一段高くなっており、こちらからも海側の車窓を楽しむことができるように工夫されています。

 

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(2人掛け対面テーブル席、テーブルには石州瓦があしらわれています)

 

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(1人用カウンター席)

 

13:41出雲市発。出発早々車内放送がかかり、斐伊川の車窓が案内されました。たしかに一見の価値ありだと思います。「あめつち」の最高速度は時速80 km に抑えられておりもともとゆっくりなのですが、斐伊川など主なビュースポットを通過するときは徐行運転を行います。

 

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(「あめつち」から眺める斐伊川雄大な車窓)

 

また、特急街道である山陰本線を走るため、特急列車を退避するため多くの運転停止があります。上りの「あめつち」は13:41出雲市発、17:36鳥取着で、出雲市鳥取間を4時間ほどで走りますが、13:59出雲市発の「スーパーまつかぜ10号」は15:52鳥取着で、2時間ほどで同じ区間を走っており、「あめつち」がかなりのんびり走っていることがわかります。運転停止の間も乗客を飽きさせない工夫が凝らされており、例えば、車掌さんがおみくじを配ってくれたり、プレートを持って記念撮影してくれたりしました。車内には「あめつち手帳」なるものが置いてあり、「あめつち」の運行区間の各地にまつわる神話について学ぶことができます。

 

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(車掌さんがおみくじを配ってくれました)

 

 また、車内は山陰地方の名産品で装飾されており、それぞれに案内板が付いているので、それらを眺めることでも乗車時間を楽しく過ごすことができます。例えば、テーブルはしまねの石州瓦で、天井は鳥取因州和紙で装飾されています。その他にも、窓の側面が智頭杉だったりします。また、「あめつち」の外装の絵は、島根県出身でスタジオジブリ作品にも参加しているアニメーション美術監督吉田昇氏が手掛けています。

 

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(「あめつち」の天井は因州和紙で装飾されています)

 

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(「あめつち」の壁は智頭杉で装飾されています。案内板もついていて、美術館みたいですね)

 

 宍道駅のあたりで、事前に予約していた「松江の和菓子詰め合わせ」が、添乗員さんから配られました。「あめつち」では事前予約すると食事のサービスを受けることができ、上り列車では「山陰の酒と肴」か「松江の和菓子詰め合わせ」を選ぶことができます。料金はいずれも2000円。食事を予約は乗車の4日前まで、予約の際には「あめつち」の指定席の座席番号が必要です。この日は、特製生菓子「あめつち」不昧菓「舟つきの松」代表銘菓「若草」老舗お茶屋「中村茶舗の煎茶」のセットでした。宍道湖の車窓を見ながらの和菓子とお茶はとても贅沢でした。

 

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(和菓子詰め合わせとお茶が配られました)

 

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(特製生菓子「あめつち」)

 

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(不昧菓「舟付きの松」)

 

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(代表銘菓「若草」)

 

松江駅では駅員さんたちが、「山陰デスティネーション」の横断幕を掲げてお見送りをしてくれました。和菓子を食べながらの返礼で申し訳ないです…。松江、安来、米子と旅の前半で訪れた駅に順に停車し、旅の思い出が思い出されます。

 

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(松江駅では駅員さんたちがお見送り)

 

 16時ごろに御来屋という駅に運転停車し、後続の列車を退避しました。ここで車内放送がかかり、御来屋駅のご案内。御来屋駅の駅舎は1902年に開通した当時のものであり、山陰地方最古の駅舎だそうです。登録有形文化財に指定されています。運転停車するダイヤなら扉を開けて駅舎を見学させてくれたらいいのにと思いましたが、安全の問題などがあるのでしょうか。

 

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(山陰最古の駅舎を持つ御来屋駅)

 

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(ノスタルジックな雰囲気の御来屋駅OLYMPUS EPL7 アートモードで撮影)

 

御来屋を発車して、しばらくすると倉吉に停車しました。倉吉には白壁土倉群などがあり、この旅で訪れることも考えたのですが、時間の都合上、今回は断念しました。また今度のお楽しみですね。倉吉―鳥取間は「あめつち」で1時間ほどですが、この区間は特に案内放送もなく、淡々と走り抜けていきました。下り列車だと何かイベントが用意されているのでしょうか。17:36鳥取着。4時間にわたる観光列車の乗車は大満足でした。

 

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(この旅では、列車内からたくさんの風車を見ることができました)

 

鳥取→新大阪

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(「あめつち」さん、お世話になりました)

 

 鳥取では約1時間の待ち合わせ。ゆっくりごはんでも食べようかと思っていたのですが、「あめつち」を降りると珍しそうな列車が止まっていました。

 

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(あの高級そうな列車はなんだ???)

 

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(若桜鉄道の「昭和」という観光列車でした)

 

調べてみると若桜鉄道の観光列車「昭和」だということがわかりました。若桜鉄道鳥取県の郡家―若桜間を結ぶローカル線です。上下分離方式を採用しており、地方自治体が線路を管理し、若桜鉄道が列車の運行を行っています。「昭和」は、日曜日は団体列車として運転されますが、平日は普通列車の運用に入るようです。また、若桜鉄道は一部の列車で因美線を経由して鳥取駅まで直通運転を行っており、この日は直通の運用に「昭和」が入っていたようです。1週間以内の「昭和」の運用は電話で確認することができるそうです。ということで、図らずも昭和を撮影することに成功しました。チラッと停車中の車内を覗いてみると、やはり普通列車にはもったいない豪華さでした。

 

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(「ぼたん」編成の「スーパーまつかぜ9号」)

 

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(コナン君もいました)

 

また、17:42鳥取発の「スーパーまつかぜ9号」に使われているキハ187系が、島根県県花であるボタンを描いている編成だったのでこれも撮影しました。ついでに名探偵コナンラッピングトレインも撮影しました。こんなことをしていると思ったより時間が過ぎてしまいました。そこで駅弁を買って、この後の「スーパーはくと14号」の中で食べることにしました。買ったのは鳥取県の名物「かに寿司弁当」です。

 

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(鳥取名物「かに寿司弁当」)

 

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(おいしくいただきました)

 

 18:40鳥取発。「スーパーはくと」はHOT7000系気動車によって運転され、今回の旅でよく乗車したキハ187系と同じ制御振り子付き気動車です。最高速度は時速130 km で、智頭急行線を経由して、京阪神鳥取県の移動時間短縮を目指して設定されました。「スーパーはくと」の大阪―鳥取間の所要時間は約2時間半であり、それ以前の播但線経由のルート (所要時間約4時間) に比べて1時間以上短縮したことから、高速バスに流れていた利用者を取り戻すことに成功しました。「はくと」という名前は「白兎」に由来し、これを音読みしたものです。2009年と2016年に内装のリニューアル工事を行い、シートが交換されたほか、窓側座席にコンセントが設置されたり、ウォシュレットが設置されたりしています。

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(HOT7000系気動車で運転される「スーパーはくと」)

 

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(座席がリニューアルされていて高級感が出ていました)

 

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(「増2号車」ってなんだ?)

今回私が乗車したのは「増2号車」です。「増」は「まし」と読むそうです。「増2号車」は多客期に設定され、2号車と3号車の間に組み込まれます。したがって通常は5両編成ですが、多客期は6両編成になります。それにしても「増2号車」ってなんなんでしょうか。私も珍しくて「増2号車」を指定したのですが。おそらく、「3号車と5号車は指定席、4号車はグリーン車です」という案内を変えたくないのでしょうね。そうそう、「山陰めぐりパス」はフリーエリアでは特急の自由席に乗車できますが、往復の列車は事前に予約した指定席を利用します。このことは、「山陰めぐりパス」の旅1日目①でも述べたかと思います。

 

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(高級感と安定感のあるテーブル)

 

リニューアルされたシートはやはり快適でした。テーブルも安定感のある分厚いものが取り付けられており、「かに寿司弁当」をおいしくいただくことができました。21:12新大阪着。いつも新快速なんかで通る新大阪に特急で着くと、なんだかリッチな気分になります。列車での移動も観光も充実した4日間でした。

 

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(新大阪にて「スーパーはくと」を下車し、今回の旅を終了しました)