「しまんトロッコ」号で予土線を満喫【四国満喫きっぷの旅2日目②】

宇和島駅から「しまんトロッコ」号に乗りました。といっても、トロッコ列車が開放されるのは江川崎駅からで、それまでは、トロッコをけん引している気動車に乗って移動します。予土線四万十川を縫うように走るので、左右両方の車窓から四万十川を楽しむことができます。

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(「宇和海」運用の2000系気動車。「宇和海」は末端区間ながら4両編成で運転されています)

 

 

・「しまんトロッコ」号で宇和島窪川

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(「宇和海」号には自転車を乗せることもできます)

 

 予土線は、正確には、高知県窪川駅の一つ先の若井駅から、愛媛県宇和島駅の一つ手前の北宇和島駅までを結ぶ路線です。ただし、予土線の列車は基本的に窪川駅―宇和島駅間を直通します。予土線四万十川を縫うように走るため、カーブが多く高速化に適さないこともあってか、特急列車が運転されていません。

 

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(予土線四万十川を串刺しにしています)

 

宇和島駅から高知駅まで、窪川駅―高知駅間で特急「あしずり」を使っても5時間ほどかかってしまいます。さすがに予讃線多度津まで行き、多度津から土讃線を利用するよりは早いですが、宇和島―高知間の移動は大変です。完全に別の文化圏に属しているといえるかもしれません。松山駅高知駅間であれば、「しおかぜ」と「南風」を乗り継ぐことができ、ダイヤも乗り継ぎを考慮したものになっているため、完全に多度津経由のほうが速いです。

このような事情もあってか、予土線では特徴的な普通列車を走らせて、観光路線化を図っています。普通列車用の気動車0系新幹線風に改造した「新幹線ホビートレイン」、予土線沿線の「海洋堂ミュージアム四万十」とコラボした「海洋堂ホビートレイン」、国鉄初の観光用トロッコ列車の流れをくむ「しまんトロッコ」がこれにあたり、「予土線三兄弟」と呼ばれたりします。

 

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(宇和島駅に停車する「しまんトロッコ」号)

 

今回はこれらのうち「しまんトロッコ」号に乗車しました。予土線四万十川を縫うように走り、景色と空気がきれいなことで知られています。予土線沿線の自然を楽しむことができるように、国鉄は初めてのトロッコ列車である「清流しまんと」号を運転しました。この「清流しまんと」号用の貨車を改造し、さらにトロッコの牽引用としてキハ54形に占用塗装を施したものが現在の「しまんトロッコ」号です。「しまんトロッコ」号の設計は、観光列車設計で有名な水戸岡鋭治氏が手掛けました。が、キハ54形の内装は一般的なものと同一で、トロッコもあまり手を付けるところがなく、水戸岡氏も「らしさ」を出すのに苦労したことでしょう…。「しまんトロッコ」号は宇和島駅―窪川駅間を直通しますが、トロッコに出られるのは江河崎駅―土佐大正駅間のみで、そのほかの区間はキハ54形の車内にいなければなりません。また、この列車は敵の普通列車として走ります。キハ54形の内装がそのままなのは、地元の乗客とトロッコの乗車する観光客の定員をまかなうためなのかもしれません。

 

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(「しまんトロッコ」号の側面は目を引きます)

 

「しまんトロッコ」号は宇和島駅から江川崎駅までは、定期の普通列車として走ります。外装は派手ですが内装は普通なので、乗っていると「The ローカル線の旅」といった雰囲気です。予土線沿線は、四万十川との並走区間以外でも景色がよく、観光資源として十分通用するのではないかと思いました。

 

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(予土線の車窓。晴れていればもっときれいかもしれません…)

 

江川崎駅でトロッコが開放され、指定席券を持ったお客さんたちが移動します。指定席券が発券できるのは江川崎駅―土佐大正駅間のみです。「しまんトロッコ」号の定員は40年なので、指定席券520円×40で、1本あたり20800円の収入にしかなりません…。これだけのためにトロッコの内装にお金をかけ、運転してくれるのですからありがたいものです。江川崎駅―と土佐大正駅間は、四万十川を串刺しのように何度も渡るため、列車のどちら側でも四万十川を見ることができます。

 

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(沈下橋と並走しています)

 

ロッコから四万十川の流れのほか、有名な沈下橋を見ることもできました。四万十川にはダムがありません。そのため、大雨などで増水すると、流木などたくさんの漂流物が下流まで流されてしまいます。漂流物が橋にぶつかって、よく橋が損害を受けるため、できるだけ簡素なつくりにして、また欄干をなくして漂流物が引っ掛かりにくいように工夫したものが沈下橋です。四万十川に架かる橋に共通した工夫なので、車窓からはたくさんの沈下橋を見ることができました。トロッコ区間を終えると終点の窪川まではもうすぐです。

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(「しまんトロッコ」号の後方。小さくトンネルの反対側の出口が見えます)

 

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(牽引用のキハ54系と切り離されたトロッコ部分、窪川駅にて)