tyoutyouuoの日記

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九州唯一のSLだった「SL人吉」とは【「SL人吉」乗車記①】

SL人吉」は2024年3月に引退しました。引退間際に指定券を取ることができたので、記念に乗車しました。

 

(SLを補助するDE10形)

・「SL人吉」号とは

 「SL人吉」号は、2009年から2020年まで、熊本駅人吉駅間を鹿児島本線肥薩線経由で運転されていたSL列車です。牽引機関車は58654号機 (8620) であり、「SL人吉」号を担当する前は、1988年から「SLあそBOY」号として活躍していました。

 

(引退間近の「SL人吉」は記念撮影に大人気)

 

58654号機が製造されたのは1922年であり、車籍をもって営業運転を行うSLとしては最も古いものでした。肥薩線が豪雨で長期運休となった2020年以降は鳥栖駅熊本駅間に運転区間を変更し、2021年からは同区間を「SL人吉」号として走りました。

 

(SL58654号機の補助にDE10形が付きます)

 

 58654号機は製造から100年以上が経過してとうとう寿命を迎え、「SL人吉」号は20243月に運転を終了しました。ちなみに、「SL人吉」号で使用された50系客車3両編成は、「快速ゆふいん」号などの臨時列車として活躍しています。今回は、引退間際の「SL人吉」号に乗車した様子を記事にまとめます。

 

(50系客車の内装)

 

鳥栖駅を探検

 今回の「SL人吉」号は、鳥栖駅から乗車しました。「SL人吉」号は、先頭にSL58654号機、最後尾にディーゼル機関車DE10形を連結したプッシュプル方式で運転されます。熊本駅鳥栖駅間では、鳥栖方にSL、熊本方にDLを連結して運用されていました。

 

(先頭にSLが来る姿は大人気)

 

そのため、SLが先頭に来る熊本駅鳥栖駅行きのほうが人気があり、鳥栖駅熊本駅行きのほうが予約が取りやすいという状況が続いていました。「SL人吉」号の引退が発表されてからは両方とも予約が取りにくくなっていましたが、今回は運よく熊本駅行きの予約を押さえることができたわけです。

 

(SLの補助にあたるDE10形への注目度はイマイチ…)

 

 鳥栖駅は、鹿児島本線から長崎本線が分岐する駅であり、現在でも長崎本線方面に向けて多くの特急列車が発着します。それだけでなく、鳥栖駅にはかつて鳥栖機関区が置かれ、その規模は西日本最大を誇りました。蒸気機関車の思い出を乗せて走る「SL人吉」号が鳥栖駅に向けて運転されるのも納得というわけです。

 

(50形客車には人吉がアピールされていますが人吉駅には行きません…)

 

 機関車牽引列車の時代から電車の時代になり、また、鹿児島本線の特急が九州新幹線に移行して新幹線駅が鳥栖駅とは離れた新鳥栖駅になったことで、鳥栖駅の賑わいは薄れてしまいました。それでも鳥栖駅の構内は現在でも広く、広いスペースを利用して鳥栖駅の歴史についての展示がありました。これを見るだけでも鳥栖駅を訪れる価値があります。

 

(鳥栖駅の映画を紹介する展示)

 

また、当時の名残をとどめるものとして、ホーム上にあるうどん屋さんが挙げられます。かつてはたくさん見られたとされるホーム上の食堂ですが、今では珍しいものになりました。JR九州管内には比較的多く残っており、鳥栖駅のほかには博多駅小倉駅で見られます。また、折尾駅は最近新駅舎が竣工しましたが、新駅舎の改札内にもうどん屋さんがありました!

 

(鳥栖駅名物のうどん屋さん)

 鳥栖駅はたくさんの特急列車が発着するので、ホーム上にいても飽きることがありません。長崎本線佐世保線の「みどり・ハウステンボス」号や、西九州新幹線に接続する「リレーかもめ」号、久大本線の「ゆふいんの森」号などを見送っていると、今回の目的である「SL人吉」号が入線してきました。

 

(鳥栖駅に入線する上り「リレーカモメ」号)