豊肥本線と南阿蘇鉄道を乗り継いで阿蘇地域を旅行しました。豊肥本線も南阿蘇鉄道も楽しい観光列車を走らせていて、鉄道の旅にぴったりです。
南阿蘇鉄道は、熊本県南阿蘇村の立野駅と高森町の高森駅とを結ぶ路線 ( 高森線) を運行する鉄道会社です。立野駅ではJR九州の豊肥本線と接続しています。もともとは国鉄高森線でしたが、1986に国鉄から分離され、第三セクター鉄道の南阿蘇鉄道になりました。
南阿蘇鉄道は新駅開設、観光用のトロッコ列車運行、デュアル・モード・ビークル (DMV) の運行試験など、攻めの施策を展開してきましたが、2016年4月の熊本地震で大きな被害を受けました。7月31日には中松駅―高森駅間での運転を再開しましたが、立野駅―中松駅間は復旧に長い時間がかかり、2023年7月15日に立野駅―中松駅の運転を再開し、全線復旧しました。全線復旧後は一部の列車を豊肥本線の肥後大津駅まで直通運転するなど、沿線の利便性向上を図っています。
なお、全線復旧に先だって、2023年4月からは、施設の管理は南阿蘇鉄道管理機構に移管し、南阿蘇鉄道は列車の運行のみを担当する上下分離方式に移行しました。地域の足を持続可能な形にするために、南阿蘇鉄道は今も新しい取り組みを続けています。
(南阿蘇鉄道の観光列車「サニー号トレイン」)
観光客誘致にも力を入れている南阿蘇鉄道ですが、九州各地から鉄道で南阿蘇鉄道を訪れる場合は熊本駅から、空路で熊本空港から訪れる場合は肥後大津駅から、豊肥本線で立野駅まで向かうことになります。
(豊肥本線の観光列車「かわせみやませみ」号)
豊肥本線は熊本と大分の連絡の役割だけでなく、「阿蘇高原線」の愛称を持つように阿蘇山観光への足としても重要であり、「あそぼーい！」号、「かわせみやませみ」号、「九州横断特急」号、「あそ」号といった多数の特急列車が運転されています。「かわせみやませみ」号と「あそ」号は熊本駅―宮地駅間の運転で、大分方面からは利用できませんが、熊本方面から立野駅のアクセスとしては4種類とも利用可能です。
(豊肥本線の観光列車「あそぼーい！」号)
今回は、豊肥本線の観光列車を楽しみつつ、南阿蘇鉄道沿線を観光した様子を記事にまとめました。
・まずは熊本駅へ
まずは鹿児島本線沿線の最寄り駅から熊本駅を目指します。例によって朝が早いです。鹿児島本線の博多駅からは、鳥栖駅から長崎本線に直通する特急列車「リレーかもめ」号、「みどり・ハウステンボス」号、「かささぎ」号が多数運転されていますが、一部の普通列車も長崎本線に直通します。今回は江北駅行きの普通列車に乗車して、新鳥栖駅から九州新幹線に乗り換えました。
鳥栖駅は「鉄道の街」としての歴史が長く、鉄道マニアからも人気ですが、一つとなりの新鳥栖駅も新幹線と在来線の乗換駅として整備されています。特に、佐賀方面からの新幹線アクセス駅として重要な位置にあります。
(新鳥栖駅に初上陸！)
新鳥栖駅のコンコースには、地元のスポーツについての展示がありました。鳥栖市はバレーボールやサッカーなど、スポーツが盛んな街ですね。新鳥栖駅や東海道新幹線の浜松駅など、地元のスポーツチームや産業について、多くの人の目に入る新幹線の駅で紹介している例は多いです。
新鳥栖駅で自由席特急券を買って、「つばめ」311号に乗車します。九州新幹線の「つばめ」号は、各駅停車タイプの種別で、東海道・山陽新幹線の「こだま」号にあたります。基本的に九州新幹線内完結で、800系6両編成で運転されますが、一部の便はN700系8両編成が充当されます。
(N700系で運転される「つばめ」号)
「つばめ」311号はこれに当たるもので、N700系8両編成がやってきました。N700系8両編成は基本的に1-3号車が自由席、4-8号車が指定席で、自由席は5列シート、指定席は4列シートで座席のグレードに差があります。N700系8両編成で運行される「つばめ」号もこれに準じて、前3両が自由席、あと5両が指定席のことが多いのですが、一部の列車では前4両が自由席になっています。この場合、指定席用の4列シートを自由席で利用できるのでちょっとお得です！「つばめ」311号はまさにこのパターンで、4号車が自由席になっていました。
熊本駅までゆったりとした4列シートで行けるのはありがたいですね。新鳥栖駅から熊本駅までは、筑後船小屋駅、新大牟田駅、新玉名駅、熊本駅の4駅で、各駅に停車して35分ほどで着きます。8：12熊本駅着。
(今や貴重になった新幹線内の公衆電話)
