王塚古墳と原田線【福岡県内JRローカル線の旅⑫】

桂川駅近くの王塚古墳を見学して、福岡県内の上級ローカル線である原田線に乗車しました。

 

(桂川駅から原田線に乗車しました)

桂川駅と王塚古墳

 また後日…、「福岡県内JRローカル線」のうち、残った原田線筑豊本線桂川駅原田駅間)に乗車しました。まずは篠栗線博多駅から桂川駅に向かったのですが、せっかくなので桂川駅で下車することにしました。

 

(篠栗線もいい景色でした)

 

桂川駅の駅舎外装は、三角形を組み合わせた模様があしらわれており、お洒落な印象です。何も知らずに見てもお洒落で印象的な駅舎なのですが、この模様は近くにある王塚古墳の壁画装飾がモチーフになっています。

 

(お洒落な外観の桂川駅)

 

 王塚古墳は桂川駅から歩いて5分程度のところにある前方後円墳で、全長は約86 m とされています。現在はそのうち円径部が保存されています。全長86 m というのは、この付近の遠賀川流域では最大規模ですが、大山古墳などの有名な古墳に比べると小規模で、埋葬者は地元の権力者だったのではないかと考えられています。

 

(王塚古墳)

 

 王塚古墳の大きな特徴は、石室に幾何学的な模様が描かれていることです。描かれている模様には、三角形を組み合わせた三角文と、円を基本にした同心円文があり、特に同心円文は九州の3つの古墳でしか見つかっておらず、装飾古墳の歴史の中でも貴重なものと言えます。王塚古墳は国の特別史跡にも指定されています。

 

(王塚装飾古墳館)

 

 王塚古墳の石室は、保存のために一般人が立ち入ることはできませんが、近くにある王塚装飾古墳館では石室を再現した部屋に入ることができます。石室内部は幾何学模様で埋め尽くされており、近畿地方にある古墳の装飾とは全く異なる印象でした。

 

(独特な雰囲気の石室内)

 

石室のほかにも弥生時代から古墳時代にかけての人々の暮らしや、古墳の埋葬品についての展示もあり、とても勉強になりました。この手の展示館は例によってお客さんが少ないので、ゆっくりと見学することができます。もっと評価されてもいいような気がするのですが…。

 

(館内はとても静か…)

 

原田線乗車体験

 桂川駅に戻って、原田駅行きの気動車に乗車します。桂川駅原田駅間は筑豊本線の一区間を成しているのですが、福北ゆたか線の電化区間からは外れ、非電化区間のまま取り残されています。この区間原田線の愛称がつけられ、運転系統的にも分離されています。原田線は平日8往復、土日9往復しか運転がなく、乗車することが難しい線区の1つです。

 

(今日の原田線を担当するキハ40系)

 

 今回は単行のキハ40形による運転でした。このような運転形態では地元の方が利用することもハードルが高いでしょう。今回の乗客も、私を含めて、原田線に乗ることが目的と思われるような人が多数を占めているようでした。多数を占めるといっても数人しか乗っていないわけですが…。

 

(これから原田線に乗車します!)

 

 かつては筑豊本線を経由する特急列車の運転もありましたが、筑豊本線桂川駅から篠栗線経由で博多駅に直通する福北ゆたか線の成立で、原田線のローカル線化は決定的になりました。原田線では交換設備も撤去され、1閉塞での運転になっています。

 

(かつては行き違いできたであろう駅)

 

要は、今この瞬間原田線で動いているのは、私が乗車している乗っているキハ401両のみであり、これが桂川駅原田駅とを行ったり来たりして、今日の原田線のダイヤを担当しているわけです。

 

(原田駅に到着)

 

 人口500万人、福岡市と北九州市という2つの政令指定都市を持つ福岡県内で、このようなローカル線に乗る体験ができるのは貴重です。ローカル線の雰囲気にどっぷり浸かりながら、原田駅に到着です。約30分間の乗車でした。

 

(反対側の線路を783系特急が走り抜けていきました)

 

 これにて「福岡県内JRローカル線の旅」は終了です。今回は「ローカル線の旅」なので、九州の大幹線である鹿児島本線は除外しました。しかし、鹿児島本線のうち、今回未乗車である福岡県南部の原田駅大牟田駅間、特に久留米駅以南の久留米駅大牟田駅間はなかなかのローカル区間なので、扱いが難しいところです。こちらにもいずれ乗りに行きたいですね。

 

(原田駅の外からも撮ってみました)