自転車で新潟市街の観光スポットを回る【週末パスで行く新潟福島旅行②】

新潟市街は江戸時代以前からの歴史があり、江戸時代には日本海側一の港町として栄えました。幕末期には五開港の1つにも選ばれ、明治時代以降も発展していきます。そのため、市街地には数多くの名所旧跡があります。

 

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(擬洋風建築の旧新潟税関庁舎)

 

新潟市歴史博物館「みなとぴあ」へ

 今代司酒造を後にし、自転車を走らせて、次の目的地である新潟歴史博物館「みなとぴあ」に向かいます。途中、柳都大橋で信濃川を渡りました。柳都大橋は、新潟市のシンボルである萬代橋の一つ北側にあります。「柳都」とは、新潟のことです。この辺りは河口に近く、港湾エリアになっているようで、大型の船が留まっていました。船を横目に見ながら自転車をこいで、「みなとぴあ」に到着です。

 

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(港には佐渡汽船の船が停まっていました)

 

 新潟市歴史博物館「みなとぴあ」は、「水の都」新潟の歴史を学ぶことができる博物館で、入館料は大人300円です。有史以前から古代・中近世・近代の新潟の歩み、治水の歴史について展示されていました。また、建物自体も旧新潟市庁舎のデザインが取り入れられており、オシャレな感じになっています。博物館エリアには、ほかにも旧第四銀行住吉町支店、旧新潟税関庁舎も保存されており、これらは無料で見学することができます。

 

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(旧新潟税関庁舎)

 

 旧第四銀行住吉町支店は、1927年に建築され、2002年まで営業していました。もともとは新潟市の中心部である住吉町にありましたが、営業終了後にこちらに移築されました。鉄筋コンクリート造りの2階建てで、内装は大理石のカウンター、吹き抜け構造など、当時の銀行建築の特徴をとどめています。

 

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(旧第四銀行住吉町支店の内装)

 

 旧新潟税関庁舎は1869年に新潟運上所として建築されました。新潟は日米修好通商条約で5開港の1つとして開港しました。海外との貿易に伴い、関税業務を行うための施設として設けられたのが、新潟運上所です。その後、新潟税関と改称され、1966年まで使用されました。現在では国の重要文化財になっています。5開港の税関庁舎として現存する唯一のもので、日本の建築技術を用いて西洋風の建物を作ろうとした擬洋風建築の建物です。擬洋風建築としては甲府市の島村記念館などがあります。旧新潟税関庁舎の建物の中は、テーブルと椅子が並べられ、当時の様子が再現されているほか、多数の水車が展示されていました。さすが「水の都」新潟ですね。「みなとぴあ」エリアには2時間ほど滞在し、次の目的地に向かいました。

 

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(旧新潟税関の中に展示されている水車)

 

・「北方文化博物館新潟分館」へ

 北方文化博物館は日本では珍しい私立博物館です。その歴史は戦後すぐの農地改革の頃までさかのぼります。もともと新潟の大地主だった伊藤家は、現在の新潟市江南区に豪邸を構えていました。所有地は東京ドーム300個分、使用人の数は約60人だったといいます。しかし、戦後の農地改革で土地の大部分を失い、7代目当主の伊藤文吉 (伊藤家の当主は代々文吉を名乗った) は、伊藤家の財産を博物館として将来に残そうと考えました。この考えのもと、伊藤家の屋敷は戦後の私立博物館第一号となる北方文化博物館となり、7代目の息子である8代目伊藤文吉は学芸員第1期生となりました。

 

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(北方文化博物館新潟分館を庭園から望む)

 

 今回訪れる新潟分館は、1895年ごろの建築で、7代目伊藤文吉が別邸として購入したもので、新潟市中央区 (新潟市の中心部) にあります。伊藤家所有だったことから北方文化博物館の新潟分館となっているのでしょうが、この屋敷は、歌人・美術史家・書家の会津八一が晩年を過ごした場所としても知られています。会津八一は1881年生まれ、新潟県出身で、長く早稲田大学の教授でしたが、第二次世界大戦で被災して新潟に帰郷しました。1946年から「夕刊ニイガタ」の社長に招かれ、7代目伊藤文吉の新潟別邸を新潟市内での住居としました。会津八一は6代目当主の弟である九郎太とは中学・早稲田の2年後輩、その弟の成治とは中学の同期であり、その縁もあって話がまとまったのかもしれません。

 

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(会津八一愛用の椅子)

 

 北方文化博物館新潟分館では、会津八一に関連した収蔵品が多数展示されています。会津八一は主に洋館に住み、屋敷で歌を詠んだり書を書いたりしたようです。屋敷の日本庭園は7代目伊藤文吉が購入した当時からのもので、九郎太が改良したものですが、会津八一もこの庭を愛し、よく散歩していたそうです。庭園には会津八一による歌碑が建立されています。

 分館だけでもなかなか見どころが多く、いつか本館のほうにも行ってみたいものです。