本間美術館で酒田隆盛の歴史を感じる【週末パスで雪の南東北へ⑪】

本間美術館は、酒田駅から近くてお勧めであり、展示物だけでなく歴史的経緯も面白いです。

 

(酒田駅で休む特急列車)

 

・本間美術館へ

 酒田駅新庄駅に劣らず、雪に覆われていました。酒田市は古くから最上川流域の積出港として栄え、商都として繁栄してきました。そのため、山居倉庫をはじめ、関係する観光スポットもたくさんありますが、この雪の中訪れるには少し遠いです。そんななか、本間美術館は酒田駅から徒歩5分ほどのところにあるのでお勧めです。

 

(観光地にふさわしくお洒落な酒田駅舎)

 

 本間美術館は、この地域の豪商・大地主だった本間家が、別邸として建設した清遠閣が中核になっています。清遠閣は庄内藩主の立ち寄り所としても機能し、また、皇太子時代の昭和天皇も行啓しました。現在の本間美術館は、本間家が所有していた文化財を保存・展示する私立美術館であり、似た施設として新潟県の北方文化博物館があります。日本海側の街にこうした私立美術館が点在するのは、それだけ栄えた時代があったということですね。

 

(本間美術館の中核をなす清遠閣)

 

 本間美術館は、美術展覧会場と清遠閣、および庭園である鶴舞園からなります。美術展覧会場には本間家ゆかりの美術品がメインに展示されており、貴重な作品も多数所蔵されています。美術展覧会場の撮影は遠慮しましたが、ここだけでもとても見ごたえのあるものでした。

 美術展覧会場を出て、鶴舞園を通って清遠閣に向かいます。庭園の陸地部分には一面に雪が積もっており、池との対比がとても美しかったです。暖かい季節は植栽の緑がきれいなのでしょうが、雪の季節も素晴らしいと感じました。

 

(庭園にもたっぷり雪が積もっていました)

 

 清遠閣はとても凝った建築物です。江戸時代に本間家の別邸として建てられたもので、得に内装はとても凝った造りになっています。2階建てになっていますが、これは明治時代以降に改築によって出来たものなのでしょうか。江戸時代から2階建てなのだとしたら相当豪華な造りだということになります。

 

(「清遠閣」の扁額)

 

内装の見どころとして1つ挙げるとすれば、2階へと上がる階段のところにある「梅の欄間」でしょう。これは欅の木をくり抜いて作ったもので、一枚板から作られたというだけでもすごいのですが、梅の模様も精緻であり、また、壁に移る影をよく見ると鶯が浮かび上がるという、非常に凝った作りです。これは大正時代に、当時皇太子だった昭和天皇の行啓に合わせて作られたもので、「梅に鶯」は当時とても縁起のいい意匠だったとのことです。そのほかの欄間や照明も1つ1つとても凝ったものでした。

 美術展覧会場と清遠閣を30分ずつ、かなり駆け足で見物して、酒田駅に戻ります。

 

(階段の凝った欄間には…)

 

(影に梅と鶯が浮かび上がるという仕掛けがあります!)