ほくほく線で十日町から越後湯沢へ【週末パスで行く関東甲信越周遊旅行⑥】

「おいこっと」で飯山線を満喫した後は、北越急行ほくほく線」で越後湯沢駅に向かいます。飯山線はのんびりとした雰囲気でしたが、「ほくほく線」は高規格路線として建設されたので、打って変わって、ビュンビュン飛ばします。

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(北越急行ほくほく線)

 ・ほくほく線越後湯沢駅に移動

 十日町駅はJR飯山線北越急行ほくほく線の乗換駅です。以前は駅舎が離れていたようですが、私が利用したときは、建物を出ることなく乗り換えることができるようになっていました。これも、前述の信濃川発電所不正取水に対する補償の一環だそうです。駅舎には行政の施設も入っており、日本酒をはじめとする地元の物産を買うこともできます。

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(「駅舎から出る必要はない」と言われると駅舎から出たくなる (?))

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(このあたりは花火でも有名です)

 

 十日町駅からは北越急行の列車に乗って、越後湯沢駅に向かいます。北越急行ほくほく線は、単線の路線ですが、十日町駅は行き違い設備のほかに通過設備もあり、線路3本のなかなか豪華なつくりです。これにはほくほく線の歴史が関係します。ほくほく線はJR上越線六日町駅とJR信越本線犀潟 (さいがた) 駅間の路線で、新潟県上越地域、十日町地域、六日町地域を結んでいます。これらの地域は丘陵地帯によって互いに隔てられており、特に冬季は豪雪によって道路が使い物にならなくなるため、戦前から鉄道の必要性が唱えられていました。それにもかかわらず、「ほくほく線」の建設は進まず、そうこうするうちに、赤字体質の国鉄ではローカル線の廃止が検討されるようになり、「ほくほく線」も計画路線から外れて、地元が出資する第三セクター方式による計画になりました。

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(十日町駅にあったおしゃれな路線図)

 

 それに加えて、建設が遅れていた北陸新幹線の代わりに、首都圏から富山、金沢への短絡ルートとして「ほくほく線」が注目されるようになりました。当時、鉄道で首都圏から北陸地方に向かうには、上越新幹線長岡駅まで行き、そこから特急「かがやき」に乗り換えるルートか、東海道新幹線米原駅まで行き、そこから特急「しらさぎ」に乗り換えるルートがあり、後者が一般的でした。ちなみに特急「しらさぎ」は現在でも米原駅に停車する東海道新幹線「ひかり」と接続が図られており、北陸地方東海道を結ぶ役割を果たしています。「ほくほく線」によって、越後湯沢と直江津が短絡される (越後湯沢―六日町―犀潟直江津) と、「かがやき」ルートが改善されることになります。このような背景から、「ほくほく線」の高速化が検討され、実際に高規格路線として整備されて、越後湯沢と金沢を結ぶ特急「はくたか」は狭軌では日本最速の時速 160 km 運転を実現しました。十日町駅の構造はこのような背景によるものであり、上下の普通列車を対比させて特急列車を素早く通すことが意図されているものと思われます。

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(十日町駅には通過線もあります)

 

しかしながら、2015年に北陸新幹線が金沢まで開業すると在来線特急「はくたか」は廃止され、「かがやき」が北陸新幹線の再速達列車として、「はくたか」が主要駅停車タイプの列車として運行されるようになりました。ちなみに在来線特急の「かがやき」は、「ほくほく線」の開業により登場した「はくたか」に代わって廃止されています。

北陸新幹線開業以前、北越急行の収入は9割が「はくたか」によるものでしたが、それが失われたため、北越急行は当初の計画である地域輸送にシフトしました。また、北陸新幹線開業による特急需要の消滅はあらかじめ予想されたものであったため、特急「はくたか」による利益はあらかじめ十分蓄えられており、現在の北越急行の運営に充てられています。北越急行第三セクター鉄道の中で、最も経営が安定している部類に入ります。

 

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(ほくほく線はいくつもの山をトンネルで貫いて走ります)

 

十日町駅12:16発、乗車したのは普通列車ですが、高規格路線なだけあって、最高速度は速いです。先程まで乗っていた「おいこっと」とは全く印象が異なります。途中駅も少なく、あっという間に六日町駅に着いてしまいます。前述の経緯から、北越急行は「ほくほく線」の六日町―犀潟間だけでなく、JR上越線の越後湯沢―六日町間と、JR信越本線直江津犀潟間で直通運転を行っています (上越線の「上越」は「上野 (=群馬県) と越後 (=新潟県)」という意味で、新潟県の「上越地方」とは別、これはややこしい…)。私が乗車した列車も、六日町駅からそのまま上越線に入り、越後湯沢駅まで行きました。越後湯沢駅には12:54の到着です。

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(あっという間に越後湯沢に到着)