「サンダーバード」号泣かせの「比良おろし」【北陸新幹線敦賀延伸直前の北陸本線の姿②】

北陸本線の特急「サンダーバード」号は在来線としてはかなりの俊足ですが、湖西線内の強風「比良おろし」によって時々運転障害に見舞われます。北陸新幹線が全通したあかつきには、北陸アクセスの定時性も大きく改善することでしょう。

 

(京都駅0番ホームに停車する特急「サンダーバード」号)

・再び京都駅へ

 近江今津駅に降りると、なかなか強い風が吹いていました。駅でも何やら不穏なアナウンスが流れています。「近江今頭駅―近江塩津駅間は、強風のため列車の運行を取りやめています」とのことです…。琵琶湖の西岸は比良山地から「比良おろし」と呼ばれる強風が吹くことがあります。湖西線はちょうど「比良おろし」が吹く地域を通過することから、このような強風による運転見合わせや徐行がよく起こります。湖西線を走る特急である「サンダーバード」号は、湖西線の運転見合わせを想定して、東海道線経由の迂回ダイヤが組まれているほどです。

 

(時計の時刻と発車時刻にご注目!ダイヤは乱れまくりです…)

 

 「比良おろし」は気まぐれな風であり、一度吹くといつ止むか読みにくいそうです。駅員さんによれば、ここから近江塩津駅に行くには、一度京都駅方面に出て、東海道線経由で琵琶湖東岸を北上するのが確実とのことです。というわけで、琵琶湖をほぼ一周することになってしまいますが、近江塩津駅に行かないことには福井駅にも行くことができないので、私もこのルートで行くことにします。

 

(風にあおられる駅名標)

 

 ちなみに、近江今津駅からは、小浜線上中駅小浜駅とを結ぶバス路線がJR西日本バスによって運行されています。この路線は、湖西線の前身である江若鉄道の計画を継承したものであり、小浜地域と京都・大阪を結ぶ最速・最短経路になっています。当日には思いつきませんでしたが、このバスで小浜線に抜けて、そこから福井駅方面を目指すという手もありましたね。

 

(近江今津駅で待機する列車たち)

 

 近江今津駅907発の新快速に乗って、京都駅を目指します。この便は普段は近江今津駅より少し北の永原駅から運転される便ですが、今日は強風の影響で近江今津駅始発になっていました。新快速といっても末端区間近江今津駅近江舞子駅間は各駅に停車し、近江舞子駅から通過運転を行います。線形の良い湖西線の高架区間での通過運転は気分爽快でした。あっという間に京都駅に到着します。

 

(天気は良くても風は強い本日の滋賀県北部)

 

・北陸の玄関口である京都駅

 京都駅0番ホームには、北陸方面へと向かう特急「サンダーバード」号が発着します。0番ホームは改札口と直結しており、改札口の正面のホームに特急列車が停車するという昔ながらの鉄道の風景を今に伝えています(笑)。前述の通り、この日の「サンダーバード」号は、東海道線経由の迂回運転を行っており、京都駅0番ホームは混乱気味のお客さんをさばくため、あわただしい雰囲気でした。

 

(東海道線周りで運転される「サンダーバード」号)

 

 さて、私の今日の計画としては、福井駅から越美北線に乗って越前大野駅に向かうつもりでした。越美北線はなかなかの秘境路線で、1日の運転本数が数えるほどしかありません。越前大野駅で観光して日帰りで帰ってくるには、1250までに福井駅に着いている必要があります。

 

(京都駅には関西空港への特急「はるか」号も到着します)

 

 この計画を青春18きっぷ利用で達成するには、10時には京都駅を出発しなければなりません。しかし、さきほど京都駅―近江今津駅間をムダに往復したために、すでに10時を過ぎてしまいました。そこで、今回は特急列車を利用することにします。利用する特急は、この記事で何度も登場している「サンダーバード」号です。「サンダーバード」号を使うと、京都駅―福井駅間は約1時間半です。もっともこれは通常ダイヤの時で、今日のように迂回運転をしている場合はもう少し時間がかかりますが、福井駅まで2時間程度で行けるはずです。

 

(「サンダーバード」号も遅れ気味です)

 

 青春18きっぷでは特急には乗れないので、別途乗車券と特急券を準備する必要があります。また、1250福井駅発の越美北線に間に合ったとしても、昼食を摂るほどの時間的余裕はなさそうなので、京都駅で駅弁を買って「サンダーバード」号の車内で食べることにしました。乗車するのは1040発の「サンダーバード15号ですが、すでに10分遅れの案内が出ており、実際には20分遅れで京都駅に到着しました。北陸方面から来た折り返し便の遅れがこの列車にも影響しているようです。なにやら不穏な雰囲気ですね…。