遊覧船と徒歩で松島観光【週末パスで雪の南東北へ⑤】

松島を観光するにあたって、遊覧船に乗って海からの景色を眺めることは外せないでしょう。その一方で、遊覧船に乗るほかにも、松島には陸から楽しめるスポットがたくさんあります。

 

(松島観光の定番である遊覧船)

 

・松島観光船

 松島は言わずと知れた日本三景 (宮城県の松島、京都府天橋立広島県の宮島) のうちの1つです。当ブログで紹介する日本三景は松島が初めてですね。松島湾には、山が海に沈みこんでさらに浸食を受けてできた島が多数浮かんでおり、多島海といわれる美しい景観を形成しています。東北地方の太平洋側といえば三陸リアス式海岸が有名ですが、松島湾三陸海岸よりもさらに南です。松島湾多島海は、リアス式海岸からさらに浸食が進んだ姿だそうです。松島湾の美しい景観は、日本三景といわれるように、古くから多くの観光客を集めており、現在でもかなりの盛況を誇っています。この旺盛な観光需要から、松島湾では3つの船会社が観光船を運行しています。

 

(松島が誇る多島海)

 

 各船会社とも料金は1500円ほどですが、船の大きさや航路がそれぞれ異なっています。また、事前割引などで安く乗れる場合もあるので、利用する際は良く下調べするのがおすすめです。こんなことを書きながら、私は15時の便に乗るためにダッシュで港まで行ったわけですが…。まあ、乗りたい船はちゃんと調べていたのです。

 今回乗るのは松島島巡り観光船が運行する仁王丸です。仁王丸の名前は、松島湾の名勝である仁王島から採られています。松島島巡り観光船は3艘の大型船を運行しており、いずれも「仁王丸」を名乗っており、「仁王丸」、「第二仁王丸」、「第三仁王丸」と区別しています。なかでも、2020年に就航した「仁王丸」は、コンセントなどの現代的な設備が充実しているほか、窓が大きく取られており、船内のどの席からでも松島湾の景色を楽しむことができます。今回は運よく、この最新の「仁王丸」に乗船することができました。

 

(最新型の第三仁王丸)

 

 急いで乗船券を買って港に行くと、仁王丸に乗るお客さんたちが大勢列を作っていました。たくさん乗るようですが、仁王丸の定員は400人なので、全く問題ありません。私が乗った時も、まだ席に余裕があるようでした。また、松島湾内は波が静かなので、後部の船室の外に出て景色を見ることもできます。こちらのほうが、窓ガラスで隔てられていない分、景色を間近に楽しむことができます。私もしばらく外に出ていたのですが、外だと観光案内が聞こえにくいので、途中から船室内に移ることにしました。

 

(松島の独特の形の島)

 

真冬で寒いという理由もありましたが。座席は窓際のほうが人気で、後から入ると中央部分の席しか空いていませんでしたが、窓が大きいのでここからでも十分に景色を楽しむことができます。

仁王丸は松島湾をゆっくりと回って、約50分で港に帰ってきます。松島湾の景色は、陸からだとどうしても一部しか見られないので、観光船に乗るのがおすすめです。

 

(松島湾の島の形は様々です)

 

・松島観光

 観光船から降りると16時でだいぶ日が傾いてきましたが、まだ暗くなるには少し時間があったので、周辺の観光スポットを回ることにしました。まずは港から目についた五大堂に行きます。五大堂は瑞巌寺 (ずいがんじ) の仏堂で、仙台の大崎八幡宮と同じく、坂上田村麻呂に始まります。五大堂は小島のようなところに建てられており、短い橋で結ばれています。橋げたの間が空いているすかし橋が有名です。五大堂のある島全体が聖域とされており、ここへ渡るにあたって気を引き締めるために「すかし橋」があるそうです。ただし、現在では安全のために、中央部には板が渡されています。

 

(小島の上に立つ五大堂)

 

 五大堂を見た後は、瑞巌寺の方にも行ってみることにしました。五大堂は瑞巌寺の境外仏堂であり、瑞巌寺の本体とは離れたところにあります。五大堂から10分ほど歩くと、瑞巌寺です。瑞巌寺伊達政宗によって再建された寺で、江戸時代に伊達家によって保護されて繫栄しました。五大堂は元々瑞巌寺とは独立していましたが、五大堂も伊達政宗によって再建され、江戸時代には瑞巌寺の一部になりました。それで境外仏堂というわけです。

 

(瑞巌寺の立派な杉並木)

 

 瑞巌寺の建物は国宝に指定されて公開されていますが、残念ながら冬は閉館時間が早いらしく、この日はすでに閉館していました。ただし、門の外だけでもとても立派です。目を引くのは参道の杉並木で、高く伸びていて立派ですが、これでも東日本大震災津波の影響で多くが枯れ、300本が伐採されたとのことです。被災前はさぞや立派だったことでしょう。