中央線経由で東京→名古屋へ、途中下車して松本城、奈良井宿を観光 【青春18きっぷで帰省】

 東京―名古屋間を青春18きっぷで移動するには東海道線経由が一般的ですが、中央線経由でも移動可能です。所要時間は東海道線経由だと6時間半、中央線経由だと8時間半から9時間であり、2時間から2時間半の差があります。しかしながら、中央線を少し下って三鷹駅発だと、東海道線経由と中央線経由の差は1時間半程度になります。今回私は、三鷹から大津まで帰省する際に、中央線経由で行くことにしました。

 この記事では、主に三鷹から名古屋までの旅程について書きたいと思います。途中松本駅奈良井駅で途中下車しました。松本駅では松本城を訪れ、奈良井駅では中山道奈良井宿を観光しました。

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(松本城は国宝五城の1つです)

 

 

三鷹→松本

 今回も青春18きっぷで大津まで帰省します。ずっと電車に乗りっぱなしだと疲れるので、休憩も兼ねて、毎回どこかで途中下車するのが楽しみなのですが、帰省のたびの事なので、東海道線の主な駅は一通り回った感があります。そこで、東海道線経由ではなく、中山道経由中央線経由で行くことにしました。東京始発だと東海道線経由と中央線経由では2時間以上の差がありますが、三鷹始発だと差は1時間半程度に縮まります。国分寺や立川始発だともっと縮まりますので、多摩地区に住んでいる方はおすすめです。5:58三鷹発。朝を制する者は旅を制す。車内はそれなりの乗車率でした。大きなリュックを背負った方が多く、登山に向かう方と思われます。八王子で松本行の普通列車に乗り換えです。

 

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(八王子から乗車した211系、お馴染みのオレンジ色の233系とはここでお別れです)

 

6:35八王子発。ここでも登山者と思われる乗客がたくさんいて、車内は混雑していました。私は2人掛けのロングシート (?) の1席を確保して眠りにつきました。前日の夜に、帰省前にたまっているタスクを処理していて、寝不足だったのです。塩尻あたりまで爆睡していました。なので八王子―塩尻間は記憶がなく、書くことがありません…。塩尻の手前で目覚めると登山者たちの姿はなく、車内の雰囲気がガラリと変わっていました。地元の方と思われる乗客がちらほらいる程度です。ところが塩尻から松本までは乗客が増え、座席はほとんど埋まっているような状態でした。塩尻―松本間は、東京方面に直通する中央東線の列車と、名古屋方面に直通する中央西線の列車が両方運転されている関係で列車の本数が多くなっていますが、需要もそれなりにあるようです。10:16松本着。よく眠ってスッキリしました。

 

松本城登城

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(松本城、お堀に天守閣が反射していてきれいです)

 

 松本駅から松本城までは徒歩20分程度です。城門のところで入場券を購入しました。松本市立博物館との共通券になっていて、大人610円です。門をくぐって天守閣に進むと、行列ができていました…。お盆の時期は来場者が多く、入場規制を行っているようです。庭園のテントの下で、登城まで30分ほど待たされることになりました。次の列車の時間が決まっている身としては痛恨のロスタイムです。

 

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(城門のところで入場券を買いました)

 

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(松本城、庭園正面から撮影)

 

現在の松本城豊臣秀吉の家臣の石川数正が作ったものです。石川家は代々徳川家 (当時松平家) に仕え、石川数正酒井忠次と共に「徳川の双璧」と呼ばれていました。ところが小牧・長久手の戦いの後に豊臣秀吉の下に走り、以降は秀吉に仕えています。石川和正の徳川家出奔の理由は諸説あり、日本史上の謎になっています。石川数正は秀吉から信州松本10万石を与えられ、松本城築城と城下町の整備を行いました。松本城は数正の子の康長の代に完成したと考えられています。

松本城は黒い城壁を持ち、別名「烏城」とも呼ばれています。黒い城壁は豊臣家ゆかりの大名が作った城に多く、松本城の他には加藤清正の熊本城や中村一氏松江城があります。これは、黄金好きの秀吉が、城にも金の装飾を好み、城壁には金と相性の良い黒を好んだことによる影響といわれています。現在の大阪城は白い城壁を持ちますが、これは徳川時代のものを模して再建したためで、秀吉の大阪城は黒い城壁だったと伝えられています。松江城については「山陰めぐりパス」の旅でも訪れているので、そちらを参照してください。

tyoutyouuo.hatenablog.com

松本城は築城当時の黒い城壁が残っており、城郭自体も築城当時のままで残っていることから、国宝に指定されています。松本城は「国宝五城」の1つで、「国宝五城」は他には犬山城彦根城、姫路城、松江城です。

 

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(松本城天守閣からの眺め)

 

というわけで、天守閣はもちろん木造で、築城当時の急な階段が残っており、上の階に上るのにはこれを使います。大阪城のようなエレベーターはもちろんありません。6階部分までありましたが、列車の時間が迫っていたので30分で登って降りてきました。松本市立博物館を見る時間もなく、急いで松本城に戻ります。松本城付近には博物館の他に旧開智学校などもあり、また訪れてみたいものです。

 

・松本→奈良井

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(松本駅には新型の E353系がいました。奥には E257系も見えます)

 

 松本駅からは12:18発の列車に乗る予定でした。これを逃すと中央西線に直通する列車は13:24までなく、奈良井に滞在する時間が大幅に短くなってしまいます。中央線は区間によっては運行本数が少なく、乗り遅れると命取りになります。したがって、途中下車にも配慮が必要で、行き当たりばったりで途中下車すると、時に大変なことになります。中央線でぶらり旅の際は、時刻表で入念な計画が必要です。東海道線は少ないところでも30分に1本は列車があり、接続も考慮されていますが、中央線は1時間に1本、2時間に1本という区間があり、この点が東海道線と中央線の最大の違いといえるでしょう。

だから松本城から早足で帰って来たのですが、私がホームに降りるタイミングで列車が出てしまいました。途方に暮れて、時刻表を見ながら代替プランを考えていました。時刻表を眺めていると、あることに気づきました。私が乗る予定だった列車は12:18松本発、12:35塩尻着、13:08塩尻着で、塩尻で30分以上停車します。これは列車の待ち合わせではないかと思い、時刻表を見てみると、「ワイドビューしなの12号」が12:53松本発、13:01塩尻着です。また、中央東線のページを見てみると、松本発小淵沢行きの普通列車が、12:42松本発、12:58塩尻着で、これに乗ると予定の列車に追いつくことができます。中央線のダイヤは良くも悪くも複雑です。とはいえ、これで元の旅程に戻れることがわかり、ひと安心です。

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(松本駅で買った山賊焼き弁当、「鶏を揚げる」→「とりあげる」→「山賊」というのが由来だそうです)

 

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(たしかに、あふれんばかりの鶏のから揚げです)

 

12:42発の列車まで、少し時間があったので、駅弁を食べて待つことにしました。これほど混まないだろうと思って駅弁を開いていたのですが、発車時間が近づくにつれてお客さんが増えてきて、発車間際には立ち客が出るほどの混雑になりました。申し訳ない気分になって急いで駅弁を食べ、なんとか発車までに食べ終えました。15分ほどで塩尻駅について、もともと乗る予定だった列車に無事に乗り換えることができました。13:08塩尻発。塩尻中央東線中央西線の結節点で、東西を直通するデルタ線も整備されています。とはいえこのあたりは山の中で、中央西線は深い山の中を進んでいきます。13:32奈良井着。

 

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(奈良井駅まで乗車した313系)

 

奈良井宿

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(奈良井駅、駅舎も趣があります)

 

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(立て看板も趣があります)

 

奈良井駅で途中下車し、ここで1時間ほど観光します。奈良井駅を出てすぐのところから、中山道奈良井宿が始まっています。中央線のこのあたりの区間中山道に並走しており、沿線には宿場町が多数存在します。奈良井宿の他には、福島宿馬籠宿妻籠宿中津川宿などがあり、先ほどの塩尻中山道の宿場町でした。奈良井宿は「伝統的建物群保存地区」に指定されており、宿場町として栄えた当時の街並みが保存されています。また「美しい日本の風土百選」や「日本遺産」にも選定されており、美しい町並みは必見です。

 

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(奈良井宿の街並み、江戸時代の街並みがほぼ完全な形で保存されています)

 

駅には、コインロッカーはありませんが、窓口で申し出れば手荷物を預かってくれます。料金は一口300円。駅前広場には外国人観光客の方が数多くいらっしゃいました。さすがは「日本一の宿場町」です。ちなみに、この称号は奈良井宿の観光案内に掲げられているものであり、宿場の全長が約 1 km で日本最長であることを意味するものです。木造の建物が道の両側に軒を連ねており、なかなか美しいものです。街道を進んでいくと、大宝寺という風情ありそうなお寺があり、入ってみることにしました。

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(大宝寺の事務所 (?) のようなところ、レトロです)

 

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(黒電話からは昭和感が漂っています)

 

ところが公開日ではなかったようで、1部100円のパンフレットが無人で販売されていたんで、100円を置いてもらってきました。無人の事務所はなんだか昭和感があり、映画に出てきそうな雰囲気です。

さらに進むと、上問屋史料館という建物が公開されていました。

 

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(重要文化財「上問屋史料館」)

 

この建物は国の重要文化財に指定されているようです。この建物は、江戸時代には「会所 (役人の詰所)」が置かれ、人馬の引継ぎなどといった宿場町の行政が行われていたそうです。また、明治天皇のご在所にもなった由緒ある建物ということです。

 

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(明治天皇御在所も公開されていました)

 

入館料300円。中は江戸時代の間取りがそのまま保存されており、調度品も数多く見ることができました。階段に下が引き出しになっていたりして面白かったです。

 

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(江戸時代にはこの屏風の前に役人が座り、行政を行っていたそうです)

 

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(尾張徳川家から贈られた置時計)

 

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(引き出し付きの階段!)

 

さらに奥に進むと、「ジョンレノンが絶賛したソフトクリーム」を売っているお店がありました。なぜ中山道の宿場町でジョンレノンが出てくるのかわかりませんが、暑かったのでちょうど良いと思って、食べてみました。たしかにおいしかったです。茶屋や土産物屋といった商店は、奥側に多いようです。

 

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(暑くて溶けそうだったのでソフトクリームを食べました)

 

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(ジョンレノンも絶賛したそうです)

 

奈良井宿の奥まで一通り見物して、駅に戻りました。奥側から駅まで15分弱といったところでしょうか。

 

・奈良井→名古屋→大津

 奈良井駅からは臨時快速列車「ナイスホリデー木曽路」に乗車します。この列車は夏の観光シーズンに運転される列車で、名古屋―塩尻間を1往復しています。塩尻―中津川間は普段は快速列車がなく、普通列車で2時間ほどか買うところは、「ナイスホリデー木曽路」は1時間半で走り、なかなか便利です。今回は転換クロスシート313系で運転されていました。

 

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(313系ナイスホリデー木曽路名古屋駅にて)

 

 14:40奈良井発。奈良井駅発車時点ではそれほど席は埋まっておらず、私もボックスを1つ占領することができました。奈良井駅以西も中央線は山の中を走り、また途中からは木曽川に並走します。上松駅付近では進行方向右側に「寝覚の床」という景勝地が見えます。が、一瞬だったので写真は撮れませんでした…。

 

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(中央西線の車窓。寝覚めの写真は撮れませんでしたが、橋でお許しを…)

 

15:49中津川着、この駅からは定期の快速列車として走ります。そのせいか、中津川駅から大量の乗車があり、私のボックスも一気に埋まりました。中津川から名古屋までは1時間強、17:18名古屋着。名古屋で夕食を食べました。東海道線経由だともう少し早く名古屋に着きますが、中央線経由で途中観光しながらだと、名古屋には夕食にちょうど良い時間に着きます。その後、東海道線に乗り換えて米原、大津へ。名古屋から大津までは快速列車を乗り継いで2時間ほどです。今回の帰省は、東海道線経由とは異なる旅になりました。

 

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(名古屋駅にて)