呉からスーパージェットで松山へ【松山・広島割引きっぷの旅⑤】

石崎汽船と瀬戸内汽船による共同運航のスーパージェットは、広島と松山を直結する高速船ですが、半数の便では呉からも乗船できます。

 

(同じ会社のフェリーに追い込みをかけるスーパージェット)

石崎汽船「スーパージェット」で松山観光港

 呉港から船に乗る場合は、基本的に大和ミュージアムの隣の呉中央桟橋ターミナルから乗ります。ここには瀬戸内海汽船の遊覧船や、瀬戸内海汽船石崎汽船による共同運航の広島―呉―松山航路が発着します。

 

(呉にて建造中(?)の船)

 

 今回利用するのは、高速船「スーパージェット」です。スーパージェットは、その名の通りウォータージェット推進を採用しており、通常のフェリーの2倍程度の速度で航行することができます。双胴水中翼船であるため、見た目としても独特な形をしています。

 

(遠くからでもそれとわかる特徴的な見た目の双胴船)

 

 スーパージェットは広島―松山観光港間を1日に9往復運行されており、そのうち4往復が呉港に停泊します。「松山・広島割引きっぷ」でスーパージェットを利用する場合、広島から利用することはできず、呉港から乗る必要があります。呉港に停泊するのは3時間から4時間に1本なので、旅程を組む際には注意が必要です。

 

(呉港からはいろんな船が発着します)

 

 スーパージェットの料金は呉―松山観光港間で6,300円です。旅客運賃4,000+特急料金2,300円という内訳です。広島―呉―松山観光港間では、スーパージェットのほかにフェリーも運行されており、こちらは旅客運賃の4,000円のみで乗ることができます(「松山・広島割引きっぷ」では利用できません)。

 

(一足先に出港したフェリー)

 

呉―松山観光港間はスーパージェットだと57分ですが、フェリーだと115分かかり、1時間の時間短縮効果があります。一方で、フェリーには自動車を積み込むことができるという利点があり、人間のみ移動する場合はスーパージェット、自動車で移動する場合はフェリーという棲み分けがあるようです。

 

(スーパージェットが近づいてきました)

 

 「松山・広島割引きっぷ」でスーパージェットを利用する際には、フェリーターミナルの窓口にて、切符発券時に出てくる引換券を渡して乗船予約をします。2万円の切符の中に6,300円の特急船の料金が含まれているなんてお得ですね!「松山・広島割引きっぷ」のような特殊な切符を出すと、窓口に周知されていなくて係の方が焦ってしまうというのがよくあるパターンなのですが、今回はスムーズに手続きしてくれました。「松山・広島割引きっぷ」はそれなりにたくさんの方が利用しているのかもしれません。

 

(江田島に向けて出発するフェリー古鷹)

 

 スーパージェットに乗るために桟橋で待っていると、たくさんの船が呉港に停泊するのを見ることができます。同じ広島―呉―松山航路のカーフェリーや、江田島行きの小型フェリーが発着するのを見ることができました。呉港はけっこう忙しい港のようです。一方で、スーパージェットを利用する方はあまり多く内容でした。9往復のうち4往復のみ呉港に停泊というダイヤ編成は、この需要を反映しているのかもしれません。

 

(スーパージェットの内装)

 

 しばらく待っていると、私が乗船するスーパージェットがやってきました。通常の船の2倍のスピードなので、やはり迫ってくるスピードが違います。今回乗船するのは石崎汽船保有する「祥光」という船でした。スーパージェットは桟橋に近づくと、巧みな操船で速やかに着岸し、旅客扱いが始まります。乗船して船室に入ると、船内は窓側の席が埋まっているぐらいの利用率でした。広島―松山間の利用はそれなりにあるようです。

 

(お洒落な遊覧船とすれ違い)

 

 呉港を出ると、造船所付近や軍港地帯を通り抜けるので、いろいろな船を見ることができます。瀬戸内海は様々な船が航行するところでもあるので、運行中の船も多数見ることができます。その中でもハイライトは、本州と倉橋島との間の海峡である「音戸の瀬戸」でしょう。

 

(橋をくぐって音戸の瀬戸に侵入)

 

ここは多数の船の通り道になっている一方で幅が狭く、航行に注意が必要です。ルールとして定められているためと思いますが、スーパージェットも音戸の瀬戸ではスピードを落として航行していました。

 

(力強い水しぶきですがこれでも速度制限を受けています)

 

ここで、先に呉港を出発した石崎汽船のフェリーを追い抜きます。こんなに至近距離でフェリーの追い抜きを見られるなんて、他の航路ではなかなかないことだと思います。スーパージェットに乗ること自体が、1つの観光ですね。

 

(先ほどのフェリーに追いつきました)

 

 瀬戸内海ではいろいろな船を見られるため、窓から景色を眺めているだけで時間を忘れてしまいます。同じ広島―呉―松山航路のスーパージェットともすれ違いました。あちらは瀬戸内海汽船保有する「宮島」のようです。広島―呉―松山航路は広島に本社がある瀬戸内海汽船と、松山に本社があり伊予鉄グループである石崎汽船の共同運航であり、スーパージェットは瀬戸内海汽船石崎汽船2隻ずつ保有しているようです。

 

(瀬戸内汽船のスーパージェット宮島)

 

 スーパージェットを利用すると呉―松山観光港間は57分なので、外を見ているとあっという間に着いてしまいます。松山観光港間には先ほど追い抜いたものよりも大型のフェリーが停泊していました。船名は「フェリーはやとも2」となっており、小倉―松山航路を担当するフェリーのようです。小倉―松山航路は、以前は「フェリーさんふらわあ」によって運行されていましたが、現在は石崎汽船に継承されています。

 

(小倉―松山航路のフェリーも見ることができました)