博多―松山のお得な移動術とは【松山・広島割引きっぷの旅①】

博多から列車で松山に向かおうとすると、岡山経由となって遠回りなイメージですが、「松山・広島割引きっぷ」なら、呉―松山間で高速船を利用できて、値段もお得になります!

 

(「宇和海」と「しおかぜ」の縦列駐車松山駅の風物詩)

・「松山・広島割引きっぷ」とは

 「松山・広島割引きっぷ」は、JR西日本のネット予約システムe5489から発売されている商品で、関西圏・博多から松山・広島に旅行するのにお得なきっぷです。大阪市内発17,500円、博多発20,100円で、松山・広島往復でき、かつ松山・広島地区の自由周遊区間4日間乗り放題になります。

 

(今回は高速船にも乗船しました)

 

ただし、片道は岡山駅発着の新幹線の指定席+松山駅発着の特急「しおかぜ」号の指定席、片道は石崎汽船の「スーパージェット」+広島駅発着の新幹線指定席という経路を取る必要があります。往路と復路を入れ替えることは可能です。かつて山陰デスティネーションキャンペーンで発売された「山陰めぐりパス」と似た方式ですね。

 

tyoutyouuo.hatenablog.com

 

 博多駅松山駅間は、岡山駅経由だと博多駅岡山駅間を「のぞみ」号指定席、岡山駅松山駅間を「しおかぜ」号指定席で行くと片道19,510(通常期) です。また、広島駅まで「のぞみ」号指定席で行き、呉港―松山観光港間を石崎汽船「スーパージェット」、松山観光港最寄りの高浜駅から松山駅まで伊予鉄道を利用すると16,860(通常期) であり、単純に行って帰ってくるだけでもかなりお得です。

 

(伊予鉄にも乗車しました)

 

 さらに、「松山・広島割引きっぷ」の自由周遊区間には、広島地区の岩国駅―呉駅間、松山地区の三津浜駅―伊予大洲駅間も含まれています。したがって、広島地区の宮島や呉、松山地区の内子や大洲といった観光地を訪れることもできます。有効期間が4日間もあるので、両方の観光地を余裕をもって見て回ることも可能です。

 

(「伊予灘ものがたり」にも乗車しました)

 

 今回は、博多駅を出発し、「松山・広島割引きっぷ」を利用して広島地区と松山地区を観光した様子を記事にまとめました。

 

・「松山・広島割引きっぷ」をはみ出して瀬野駅へ

 朝の博多駅から新幹線で広島駅に向かったのですが、少しバタバタしていて予定の便に乗り遅れてしまいました…。「松山・広島割引きっぷ」は、同じ区間の自由席に乗ることは(特例的に…)認められているので、後続の新幹線の自由席で広島駅に向かいます。EX予約等だとこのような扱いはないのでありがたいことですね。山陽新幹線は本数が多いので、乗り遅れても大したことはありません。

 

(一息ついたと思ったらもう小倉駅でした…)

 

 広島駅からは山陽本線に乗り換えて、瀬野駅に向かいます。瀬野駅―八本松駅間は貨物列車の難所区間として有名ですね。「松山・広島割引きっぷ」は山陽本線岩国駅海田市駅間と呉線海田市駅―呉駅間が自由周遊区間ですが、海田市駅―瀬野駅間は区間外なので、この区間分だけ瀬野駅の改札で精算して外に出してもらいます。事情はお察しのようで、駅員さんも呆れていました…(笑)。

 

(瀬野駅にて途中下車)

 

 瀬野駅からは他では見られない独特の鉄道路線スカイレール」が伸びています(伸びていました)。スカイレール懸垂式モノレールとロープウェイを組み合わせたような交通機関です。スカイレールは、沿線のニュータウンである「スカイレールタウンみどり坂」への交通手段として建設されました。

 

(瀬野駅から伸びるすごい傾斜のレール)

 

瀬野駅から「スカイレールタウンみどり坂」へは急勾配になっており、通常の鉄道やモノレールではアクセスすることができません。また、ロープウェイは強風に弱いため、定時運行が求められる都市交通には不向きであると考えられました。そこで考案されたのが「スカイレール」です。

 

(アトラクション的に楽しめるスカイレール)

 

 スカイレールの車両はロープウェイの籠のような外観ですが、ロープではなくレールにぶら下がっており、車両は、レールに通されたワイヤーロープにつかまって移動します。このシステムは急勾配への対応と強風対策を両立した上に、運営も低コストで済むという利点がありました。開発元としては、丘陵地に建設された全国のニュータウンに売り込もうと考えたようですが、「スカイレールみどり坂」以外では採用されず、当スカイレール20244月をもって廃止されました。

 

(スカイレール最寄りだった瀬野駅)

 

 廃止の理由としては、赤字が続いていた上に、設備更新のためのコストが高額なためということです。基本的にすべてのものが特注になるため、他に採用例のないこのシステムを維持するのは難しいようですね。スカイレール廃止後は代替として路線バスが運行されることになっています。