彦根藩とのつながりを探す旅へ【世田谷線散策きっぷで歴史散歩②】

宮の坂駅は、井伊家の菩提寺である豪徳寺の最寄り駅です。また、上町駅から少し歩くと、世田谷代官屋敷を訪れることができます。ともに、この辺りが江戸時代に彦根藩世田谷領だった歴史を感じられるスポットです。

 

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(豪徳寺といえば招き猫!)

 

豪徳寺を見学

 宮の坂駅を出て、豪徳寺に向かいました。小田急線には豪徳寺という駅があり、豪徳寺への最寄り駅ですが、世田谷線だと宮の坂駅が最寄り駅になります。ちなみに、小田急線の豪徳寺駅には、世田谷線山下駅から乗り換えることができます。ややこしいですね…。駅から5分も歩くと豪徳寺に到着です。

 

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(招き猫がいっぱい!)

 

 豪徳寺は招き猫発祥の地ともいわれ、「招猫殿」の一面の招き猫が有名です。私が訪れたときは工事中のようでしたが、それでもたくさんの招き猫が奉納されていました。招き猫に願をかけ、願いが叶うと、招き猫を奉納するそうです。豪徳寺の招き猫伝説とは、彦根藩2代目藩主の井伊直孝が猫によって豪徳寺の門内に招き入れられ、それによって雷雨を避けることができたというものです。井伊直孝はこのことを喜び、豪徳寺を江戸における井伊家の菩提寺にしました。東急世田谷線でもこれにあやかり、「幸福の招き猫電車」を運転しています。

 

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(由来がわかると面白い招き猫電車)

 

 というわけで、豪徳寺は井伊家の江戸における菩提寺でもあり、江戸で亡くなった井伊家の人々の墓もあります。井伊家といえば徳川家の譜代大名筆頭の家柄であり、彦根藩の藩主です。彦根ゆるキャラである「ひこにゃん」も招き猫伝説に関係あるとかないとか…。なぜ世田谷に井伊家の菩提寺があるかというと、世田谷一帯は彦根藩世田谷領として、彦根藩の領地だったためです。桜田門外の変で水戸浪士によって暗殺された井伊直弼も、豪徳寺墓所があります。大名の菩提寺ということで、豪徳寺の伽藍は立派なものです。本堂、墓所など、しばらく見学して宮の坂駅に戻りました。

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(豪徳寺には彦根藩主のうち江戸で亡くなった方々が葬られています)

 

・世田谷代官屋敷を見学

 宮の坂駅から世田谷線に乗り、1つ隣の上町駅に移動します。上町駅には世田谷線の車庫がありますが、この日はそれほど車両がたくさんいるわけではありませんでした。世田谷線に在籍するのは全部合わせても10編成であり、多くは運用についていたのかもしれません。

 

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(車庫にいたのは一部の編成だけ)

 

 上町駅から10分ほど歩いて、世田谷代官屋敷に向かいます。何の代官かというと、彦根藩の世田谷領における代官です。井伊家が近江国彦根から世田谷領を統治するために、ここに代官を置いたわけです。代官は廃藩置県彦根藩が消滅するまで大場氏が世襲し、世田谷代官屋敷は「大場家住宅」とも呼ばれます。

 

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(立派な茅葺屋根の世田谷代官屋敷)

 

現存する建物は、1753年に完成したもので、役宅として使用され、江戸時代中期の建築様式を今に伝えています。母屋や表門は茅葺であり、白洲跡なども残っています。世田谷代官屋敷は国の重要文化財に指定されており、無料で公開されています。重要文化財として保護されているためか、座敷に上がることはできませんが、土間には入ることができ、土間や外から屋敷の中をよく見ることができます。

 

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(なかなか豪華な間取り)

 

 同じ敷地には、世田谷区郷土資料館も併設されています。こちらは世田谷区の有史以前から現代にいたるまでの歴史や習俗について展示されています。こちらも無料で見学できますが、無料とは思えないほど充実した展示でした。さすがは人口80万人を誇る世田谷区ですね (←郷土資料館で仕入れた情報)。

 

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(お代官様~)