松陰神社とキャロットタワー【世田谷線散策きっぷで歴史散歩③】

高井戸駅から上町駅にかけて南下してきた世田谷線は、上町駅からは東に向きを変え、三軒茶屋駅に向かいます。

 

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(三軒茶屋駅から出ていく世田谷線の電車)

 

松陰神社に参拝

 上町駅から再び世田谷線に乗り、2つお隣の松陰神社前駅に移動します。松陰神社前駅は、その名の通り、松陰神社の最寄り駅です。駅から神社の鳥居まで、商店街が伸びています。商店街を5分ほど行くと、松陰神社の鳥居に着きます。

 

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(松陰神社の黒い鳥居)

 

 松陰神社吉田松陰を祭る神社です。吉田松陰は、井伊直弼による安政の大獄により、伝馬町牢屋敷で刑死し、小塚原の回向院に葬られましたが、その後、高杉晋作松下村塾の門人によって、長州藩の別邸があったこの地に改葬されました。1882年に門人らによって松陰を祭る神社が創建されたのが松陰神社の始まりです。現在は学問の神様として信仰を集めており、なかなか賑わっています。世田谷線沿線には吉田松陰を弾圧した井伊直弼の墓がある豪徳寺もあり、両者がともに世田谷線の観光スポットそして栄えている点は面白いですね。

 

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(松陰先生!)

 

 せっかくなので御朱印をもらいました。御朱印帳を開いて渡すと番号札を渡されたので、少し待つようです。待っている間に本殿にお参りし、吉田松陰墓所にもお参りしました。松陰の墓所には、松下村塾の門下生が寄進した燈籠や、徳川家から贈られた燈籠がありました。吉田松陰墓所は、この地に改葬された後、禁門の変長州藩が京の政界から失脚し、この地の別邸も没収されたときに、幕府によって一度荒らされてしまいます。徳川家からの燈籠は、後になってその時のお詫びとして贈られたものだそうです。墓所の寂しい感じと松陰神社の賑わいが対照的でした。この日は七五三で訪れている親子連れも多く、一層賑わっていました。

 

キャロットタワーに登る

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(松陰神社前駅から再び世田谷線に乗車)

 

 松陰神社前駅から再び世田谷線に乗り、終点の三軒茶屋駅に移動します。松陰神社前駅から三軒茶屋駅までは3駅です。電車に乗ったと思ったらすぐに着いてしまいました。線路はずっと複線でしたが、三軒茶屋駅の手前で1本にまとまり、三軒茶屋駅は2面1線のこぢんまりとした駅舎です。世田谷線は乗車時に一律150円を精算する方式なので切符がなく、改札を通らずに駅の外に出ることができて、なんだか新鮮です。

 

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(三軒茶屋駅は2面1線)

 

 キャロットタワー三軒茶屋駅前の再開発事業で建設されたビルで、商業施設やイベント会場などが入るほか、高層階にはオフィスが入り、最上階は展望台になっています。ここも無料で利用できるのでありがたいですね。キャロットタワーは東急世田谷線三軒茶屋駅に直結しており、田園都市線三軒茶屋駅とも地下道で連結されています。

 

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(展望台から望む富士山)

 

 展望台は主に西側に面しており、多摩地域や遠くには富士山や丹沢・大山を見渡すことができます。三軒茶屋の地名の由来は、江戸時代に、大山への参詣ルートである大山道と登戸道の分岐点であったこの地に、3軒の茶屋があったことによります。三軒茶屋のランドマークであるキャロットタワーから丹沢・大山の景色を見ると、歴史に思いをはせてしまいますね。

 

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(展望台からは世田谷線も見えます)

 

 眼下には東急世田谷線の電車も見えます。世田谷線三軒茶屋駅は単線なので、上り列車と下り列車は1つ手前の西太子堂駅で行き違います。キャロットタワーからはその様子も見ることができます。2両編成の短い列車を見ると、路面電車だった頃が思い出されるようです。

 

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(帰りに乗車したのは SDGs トレインでした)

 

 キャロットタワーを降りて、再び世田谷線に乗り、下高井戸駅まで引き返すとこの旅もおしまいです。料金は「世田谷線散策きっぷ」340円その他で1000円弱、時間にして4時間程度で世田谷線沿線を満喫することができました。