・「富士山ビュー特急」と「フジサン特急」
(ド派手な「富士山ビュー特急」)
富士山駅からは11:31発の「富士山ビュー特急」に乗車しました。富士急線は有料の特急列車を多数運転しており、「富士山ビュー特急」もその一つです。ただし、富士山駅―河口湖駅間を乗車する場合は乗車券のみで乗ることができます。「吉田のうどんきっぷ」を利用すると特急の自由席にも乗れるので今回は関係ないのですが…。
「富士山ビュー特急」は8500系と呼ばれる車両で運転されており、日本全国で多数の観光列車をデザインしている水戸岡鋭治氏によって設計されました。赤い車体が目を引きますね。3両編成で運転され、1号車は特別車指定席で、特急料金に加えて特別車両金900円が必要です。土休日には「スイーツプラン」が設定されており、4000円でプロのパティシエによるスイーツを楽しむことができます。こちらは乗車券+特急料金+特別車両金という料金体系ではなく、旅行商品として発売されています。2号車と3号車は自由席で、乗車券と特急券で乗車できます。大月駅でJRの特急と接続しているようで、JRからの乗り換え客によって基本的に混雑率は高いようです。私が乗車した際も、自由席には多数のお客さんがいらっしゃり、ぎりぎり座れるという感じでした。
(車内には絵が飾ってあったりしてオシャレです)
この8500系は新造されたわけではなく、もともとJR東海で371系として走っていました。371系は新宿駅―沼津駅間の特急「あさぎり」用として主に使用されていました。新宿駅―沼津駅間といっても、東海道線経由ではなく (それでは大半がJR東日本管内になってしまいますね)、新宿駅―秦野駅間は小田急線、秦野駅の次の松田駅からJR御殿場線に入り、沼津駅まで直通運転を行っていました。小田急の特急「あさぎり」は今では特急「ふじさん」として新宿駅―御殿場駅間に短縮されてMSEによって運転されています。つまり、かつては富士山の反対側で活躍していたわけです。
私が乗車した列車は11:31に富士山駅を出発し、富士急ハイランド駅に停車した後、11:37に河口湖駅に到着しました。河口湖駅からは、11:52発の「フジサン特急」に乗車します。完全に「富士山ビュー特急」と「フジサン特急」に乗るためだけに移動していますね…。
「フジサン特急」は富士急8000系電車によって運転されています。こちらも「富士山ビュー特急」と同じく3両編成で、1号車が指定席、2号車と3号車が自由席です。「フジサン特急」は車体に富士山のキャラクターがたくさん描かれていてにぎやかですが、内装は「富士山ビュー特急」ほど特徴的ではありません。ただ、ハイデッカー構造になっており、高い視点から車窓を楽しむことができます。
(「フジサン特急」の車体にはこれでもかというほどキャラクターが描かれています)
「フジサン特急」も新造車ではなく改造車で、もとは小田急RSE 20000形電車 RSEでした。ハイデッカー構造はRSE時代のものが生かされています (ただし、一部は床の高さが下げられており、バリアフリー対応になっています)。小田急20000形は御殿場線への直通運転用に開発された車両で、おもに「あさぎり」として運用されました。つまり、さきほどの元JR東海371系と同じ列車を担当していたのです。ちなみに、JR東海371系と小田急20000形は車内仕様も統一されていました。そうしないと座席指定を行うときなどに困るということなのでしょうか。同じ運用にあたっていた2つの車両が、改造された後も同じ路線で活躍するなんて面白いですね。
(「フジサン特急」と富士山ビュー特急」の並び、かつての「あさぎり」のおもかげは…)
「フジサン特急」は11:52に河口湖駅を出発し、富士山駅12:01着。ここで30分ほど待って、後続の普通列車に乗ります。河口湖駅から普通列車に乗ってもよかったのですが、この日「フジサン特急」に乗ろうとするとこういう方法をとるしかなかったのです。