足尾銅山を観光【東武本線乗り放題デジタルきっぷでまわる北関東の旅⑦】

足尾銅山といえば、「足尾銅山鉱毒事件」で有名ですが、現在は閉山しており、採掘は行われていません。旧坑道の一部は観光用に公開されており、足尾銅山の歴史を見学することができます。

 

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(坑道まではトロッコ列車で移動します)

足尾銅山を観光

  通洞駅の次は足尾駅ですが、足尾銅山観光の玄関口は足尾駅ではなく通洞駅です。また、「トロッコわたらせ渓谷」号に乗車後、すぐに折り返すためには、終点の足尾駅ではなく通洞駅で折り返す必要があり、そのため通洞駅では多くのお客さんが下車していました。通洞駅を発車する「トロッコわたらせ渓谷」号のお見送りもすごい人数です。

 

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(足尾銅山では寛永通宝も鋳造されました)

 

 通洞駅から5分ほど歩くと、足尾銅山への入り口があります。足尾銅山は、「足尾銅山鉱毒事件」で有名ですが、江戸時代に鉱床が発見されてから400年にわたって銅の採掘が続けられてきました。江戸時代には、幕府直轄の銅山であり、ここで採掘された銅から寛永通宝が鋳造されました。足尾銅山で鋳造された寛永通宝には、「足」の字が彫られており、「足字銭」とも呼ばれます。

 

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(明治以降、足尾銅山は大きく変革しました)

 

その後、足尾銅山の銅採掘量は減少し、明治時代にはほぼ閉山状態になりますが、古河財閥の創業者である古川市兵衛が鉱山経営に乗り出し、近代的な採掘・精錬技術を導入して、銅山を復活させました。足尾銅山は、愛媛県新居浜市別子銅山茨城県日立市の日立銅山と並ぶ大銅山に成長しました。一方で、その裏では、鉱物成分が渡良瀬川に垂れ流され、「足尾銅山鉱毒事件」と言われる公害問題が起こりました。

 

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(坑道に残る銅が往時の面影を残しています)

 

衆議院議員田中正造の運動などにより、鉱毒問題の対策が取られますが、富国強兵の時代背景と技術的な問題により完全な解決には至らず、現在でも影響が残っています。このことから、足尾銅山鉱毒事件は「100年公害」とも言われています。足尾銅山は、1973年に採鉱を停止して以降、現在では閉山していますが、坑道跡の一部が観光用に公開されています。

 

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(採掘で使われたトロッコも展示されていました)

 

 坑道跡まではトロッコで移動します。料金は、坑道への入場料を含めて830円です。トロッコは、坑道に入るとすぐに停車し、ここから徒歩で坑道内を見学します。坑道内は気温が低く、地下水が滲み出ていて、ここで一日中作業することを想像すると、少し怖いですね。坑道内には、自然に沈殿した銅や、地下水に溶けた銅イオンが硫酸イオンと結合した硫酸銅の青い沈殿が見られました。化学のお勉強にちょうどいいかもしれません。

 

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(青い硫酸銅)

 

 坑道を抜けると資料室があり、大きな銅の延べ棒などが展示されていました。また、敷地内には、江戸時代以前の銅銭や、貨幣の鋳造方法を紹介した資料館もあり、なかなか面白いです。坑道と資料館には1時間ほど滞在させていただきました。

 

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(坑道はとても良い雰囲気でした)