「ホリデー快速ビューやまなし」号で甲府を観光【青春18きっぷで日帰り旅行】

ホリデー快速ビューやまなし」号に乗車し、日帰りで甲府を観光しました。「ホリデー快速ビューやまなし」号は、土休日に新宿―小淵沢間を1往復しています。オール2階建ての215系による運転です。甲府では旧山梨県庁、甲府城藤村記念館山梨県立美術館を訪れました。

 

f:id:tyoutyouuo:20181020234041j:plain

(新宿駅6番線に停車する215系ホリデー快速ビューやまなし」号)

 

215系ホリデー快速ビューやまなし

 「ホリデー快速ビューやまなし」号は、都心から山梨県方面へ観光客を運ぶため、土休日に1往復運転されています。自由席、指定席、グリーン席がありますが、快速列車なので自由席は青春18きっぷのみで乗車可能です。使用されるのはオール2階建ての215系10両編成です。「オール2階建て」と書きましたが、1号車と10号車は1階部分にモーターを積んでいるため、座席は2階部分のみです。また、車端部には平屋席もあります。215系は、平日は東海道線で着席保証型の通勤列車である「湘南ライナー」として使われています。平日は通勤列車として使われる車両が、休日には観光用に使われるなんて面白いですね。ボックスシートなので、「休日の観光列車が平日には通勤用に使われている」といったほうが正しいかもしれません。開発された経緯としては、「ひっ迫する通勤需要をさばくためにオール2階建てにした」ということなので、前者が正しいのですが…。なぜボックスシートにしてしまったのか…。実は、座席はフランス国鉄との共同開発なのだとか!いわれてみれば何となくフランス情緒のある座席ですね。

 

f:id:tyoutyouuo:20181020224823j:plain

 (三鷹駅に入線する「ホリデー快速ビューやまなし」)

 

ホリデー快速ビューやまなし」号が運転されるのは春季から秋季にかけてで、冬季は運転されません。これは215系が中央線の厳しい冬の寒さに対応していないからだそうです。その一方で、215系は中央線高尾以西の狭いトンネルに対応するためにパンタグラフに工夫が施されており、これによって中央線に乗り入れることができています。215系、奥が深いですね。

 

 ・三鷹甲府

最寄りの三鷹駅には8:40少し前に着きました。上りの中央特快に乗って新宿まで行き、始発から「ホリデー快速ビューやまなし」号に乗車するためです。ところがこの日は有人改札が詰まっていました。青春18きっぷにハンコを押してもらうのに手間取り、電車に乗り遅れてしまいました。仕方なく「ホリデー快速ビューやまなし」が三鷹に到着するのを待つことに。30分ほど駅でブラブラしていると、215系が入線してきました。休日の朝に中央線に乗っていると、たまにすれ違うことはありますが、実際の乗車するのは初めてです。

 

f:id:tyoutyouuo:20181020225017j:plain

(「ホリデー快速ビューやまなし小淵沢行き)

 

9:15三鷹発。案の定、新宿からのお客さんでほとんどのボックスが埋まっており、ボックスのうち1席がちらほら空いている程度でした。私は窓側から景色を楽しみたかったので、デッキで粘っていましたが、八王子を過ぎても空かないのであきらめて、通路側の1席に座りました。乗車率にはしばらく変化がありませんでしたが、大月で大勢降りていきました。富士急行線に乗り換えて、富士山方面に向かうのでしょうか。天気がよかったのでそれも楽しいでしょうね。そのおかげで「ホリデー快速ビューやまなし」はだいぶ空き、私はボックス1つを占領することができました。おススメなのは進行方向左側です。こちら側からは、鳥沢鉄橋から美しい眺めを楽しむことができ、甲府盆地もこちら側から俯瞰することができます。

 

f:id:tyoutyouuo:20181020225224j:plain

(鳥沢鉄橋からの風景。田んぼと川のコントラストが美しいですね)

 

鳥沢鉄橋を過ぎ、山梨市や勝沼ぶどう郷でもたくさんのお客さんが下りていきました。11:13甲府着。私もここで下車します。

 

f:id:tyoutyouuo:20181020225455j:plain

(甲府駅に到着しました)

 

f:id:tyoutyouuo:20181020225500j:plain

(215系は前面の表示が独特です)

 

舞鶴城 (甲府城)、藤村記念館山梨県立美術館へ

観光甲府駅前の広場では武田信玄公がにらみを利かせていました。

 

f:id:tyoutyouuo:20181020225703j:plain

(甲府駅では武田信玄公がにらみを利かせています)

 

駅前の観光案内所 (バスセンター) で観光地図をもらい、まずは南口周辺を散策します。南口の近くの観光スポットは、山梨県庁旧館の建物と舞鶴城公園です。山梨県庁旧館は別館として今も使われており、一部が公開されています。この建物は1930年に2代目県庁舎として完成し、1963年に今の本館ができるまで、県政の中心として活用されました。西洋風な豪華な作りで、山梨県の指定有形文化財に指定されています。

 

f:id:tyoutyouuo:20181020230015j:plain

(山梨県庁旧館には噴水もあります)

 

2階には「山梨近代人物館」がオープンしており、明治時代以降山梨県の発展に貢献した人物たちや、山梨県の交通事情改善に大きく貢献した笹子トンネルが紹介されています (ネタで言ってるのではなくて!)。ちなみに、係員の方がとても丁寧に対応してくれました。

 

f:id:tyoutyouuo:20181020230214j:plain

(山梨県庁旧館は階段も豪華です)

 

f:id:tyoutyouuo:20181020230221j:plain

(山梨県庁旧館は内装も豪華です。さすが公開されているだけのことはあります)

 

 舞鶴城公園は山梨県庁旧館の隣です。「舞鶴」という名前は、城郭が、鶴が羽を広げたような形をしているからつけられた名前だそうで、京都府舞鶴とは関係ないようです。天守閣は残っていませんが、天守跡が保存されているほか、いくつかの櫓や門が保存または復元されています。この日は、天守跡からかなたに富士山を見ることができました。

f:id:tyoutyouuo:20181020230603j:plain

(武徳殿 (手前) と謝恩碑 (奥)。謝恩碑は、山梨県の皇室の山林をくださったことに対して、明治天皇に向けて建てられたものです)

 

f:id:tyoutyouuo:20181020230653j:plain

(天守台からは富士山を見ることができました)

 

舞鶴城は、今の中央線をまたいで広がっていました。したがって、中央線からは両側に城跡を見ることができます。私も線路をまたいで反対側へ向かいました。線路の北側には山手御門が復元されています。

 

f:id:tyoutyouuo:20181020231223j:plain

(山手御門、古文書をもとに忠実に復元されています)

 

f:id:tyoutyouuo:20181020231247j:plain

(御門の中の建物には、発掘された軍馬が展示されていました)

 

山手御門は舞鶴城の最も北側に位置し、出入り口の守りを固めています。ちなみに、甲府城と城下町を整備したのは、江戸幕府5代将軍徳川綱吉の小姓だった柳沢吉保とその子の吉里です。柳沢吉保徳川綱吉の小姓から出世して、甲府藩を与えられました。しかしながら柳沢吉保大老格で江戸に常駐しており、甲府を訪れることはなかったため、甲府城下の整備は吉保の家老が行ったそうです。

 

f:id:tyoutyouuo:20181020231454j:plain

(小淵沢から回送される215系甲府城甲府駅前をぶらついているとたまたま見ることができました)

 

舞鶴城を見学した後は、藤村記念館を訪れました。甲府駅の北口正面で、やたらと目立っていたので立ち寄ってみたのです。こちらでも係の方が丁寧に対応してくれました。甲府の観光施設の方は皆さん対応が丁寧でした。藤村記念館は、明治時代に多数建てられた擬洋風建築の1つです。山梨県5代県令の藤村紫朗が奨励したことから、「藤村式建築」とも呼ばれます。正面玄関の車寄せ、アーチ形の窓枠、ベランダなど西洋風の特徴を持つ一方で、屋根は瓦葺きであり、骨格構造は日本古来の様式で作られており、まさに和洋折衷という感じです。藤村記念館として公開されている建物は学校の校舎として利用されていたもので、NHKの「花子とアン」のロケにも使われてそうです。

f:id:tyoutyouuo:20181020231816j:plain

(甲府駅前の藤村記念館は擬洋風建築の美しい建物です)

 

f:id:tyoutyouuo:20181020231824j:plain

(藤村記念館は、建設当時は学校として利用されていました)

 

ここに30分ほど滞在し、時刻は13:30。もともとは、小淵沢まで行って、帰りの「ホリデー快速ビュー山梨」こそは始発から乗車しようと考えていました。そのためには甲府駅15:05発の普通列車に乗ればよいのですが、それにはまだ時間があります。というわけで、山梨県立美術館に行ってみることにしました。甲府駅から山梨県立美術館まではバスで15分弱ですが15:05に甲府駅に帰ってくるのは大変そうです。なので予定を変更して、「ホリデー快速ビュー山梨」が16:48に甲府駅を出るまで甲府に滞在することにし、山梨県立美術館をゆっくり見学することにしました。

 

f:id:tyoutyouuo:20181020232137j:plain

(山梨県立美術館は山梨県立文学館と同じ敷地にあります)

 

f:id:tyoutyouuo:20181020232320j:plain

(山梨県立美術館は「ミレーの美術館」とも呼ばれています)

 

地方の公立美術館と侮るなかれ、山梨県立美術館は「ミレーの美術館」ととも言われており、ミレーコレクションは世界有数です。先ほどのバスセンターでバスの時刻を聞くと13:50のバスがあるということだったので、そのバスで山梨県立美術館に向かいます。14:02美術館前着。なんと大学生料金が設定されており、常設展+企画展で590円でした。博物館や美術館では高校生料金とは別に大学生料金が設定されていることがたまにあり、大変助かるのですが、大人料金の半額以下という設定には驚きました。ありがたい限りです。ミレーの絵画を写真で撮るわけにはいきませんでしたので、写真はありません。ただ、美術館からも富士山を拝むことができました。また、「魔法の美術館」なる企画展が開催されており、「みて、さわって、遊んで、学べる」がコンセプトの企画展で、こちらは写真撮影OKでした。体験型の展示で、子供たちには大人気でした。2時間弱滞在して甲府駅に戻りました。

 

f:id:tyoutyouuo:20181020232632j:plain

(山梨県立美術館からも富士山を見ることができました)

 

f:id:tyoutyouuo:20181020232704j:plain

(「魔法の美術館」展、幻想的ですね)

 

甲府→新宿

 今度乗り遅れるとシャレにならないので、甲府駅には早めに着きました。ホームに降りると、臨時特急「はまかいじ」号が入線するところでした。「はまかいじ」は横浜から山梨方面の観光客を運ぶために、土休日に1往復設定されています。中央線の「かいじ」や「あずさ」には新型のE353系が次々に投入されている中、「はまかいじ」は今でも「踊り子」と同じ185系で運転されています。また、おおまかに「かいじ」甲府行、「あずさ」は松本行ですが「はまかいじ」は松本行であり、その点も異端と言えます。いずれにしても珍しいことには違いありません。

 

f:id:tyoutyouuo:20181020233123j:plain

(「はまかいじ」号)

 

f:id:tyoutyouuo:20181020233127j:plain

(「はまかいじ」号の正面)

 

 「ホリデー快速ビューやまなし」は「はまかいじ」の後の発車。16:48甲府発です。復路もやはり、小淵沢からのお客さんでいっぱいで、通路側の1席を確保するのがやっとでした。新宿に着くころには日が暮れて、真っ暗になっていました。18:55新宿着。新宿駅には中央線ホームではなく、成田エクスプレスなどが発着する6番ホームに到着です。

 

f:id:tyoutyouuo:20181020233250j:plain

(「ホリデー快速ビューやまなし」号は新宿駅6番ホームに到着)