大塚国際美術館は、世界屈指の複製作品展示館です。展示されている複製作品は、世界各地の美術館によって検品されている由緒正しいものです。システィナ大聖堂全体の複製や、レオナルド・ダ・ヴィンチ「最後の晩餐」の修復前後の比較など、複製であるからこそできるユニークな試みを行っています。展示規模は大きく、1日では見切れないほどです。短時間で楽しむには無料のガイドツアーに参加するのがおすすめです。
(システィナ大聖堂は2018年の紅白歌合戦でも話題になりました)
鳴門駅からはバスに乗って大塚国際美術館へ向かいます。GW中ということもあり、バスは2台体制でしたが、それでも満員でした。しかし、大塚国際美術館で降りた方は数名で、ほとんどの方は鳴門の渦潮を見に行くようでした。
(バスの車窓からは鳴門大橋が見えました)
大塚国際美術館は大塚製薬グループが開館させた美術館です。大塚国際美術館の最大の特徴は、館内の作品が実物ではなく複製であることです。複製は、タイルに原寸大で描かれています。大塚グループの創業者一族は、ある時、徳島県の砂を原料にしてタイルを作るビジネスを思いつきました。しかし、オイルショックでタイルの需要がなくなり、タイルに絵を描いて売ったそうです。これがきっかけとなり、タイルは耐久性に優れるため、芸術作品の保存にも役立つこともあり、複製作品を集めた美術館の開館につながりました。また、「複製を見た子供たちが、いつか本物を見るために世界に羽ばたいてほしい」という思いから、大塚国際美術館は入館料が大人3300円に対して大学生2200円、小中高校生500円と、子供料金がかなり割安に設定されています。これは家族で行くしかありませんね!
(大塚国際美術館は山をくり抜いて作られており、外からはその全容を把握することができません)
大塚国際美術館の作品は複製ですが、複製だからと侮ってはいけません。館内には同じテーマの作品がこれでもかと並べられていたり、教会美術がそれ単体ではなく聖堂全体を再現する形で展示されていたりと、かなり見ごたえのある内容です。1日では見切れないほどで、通うぐらいがちょうどいいかもしれません。初めての見学者向けに、1日に何度か、館内のハイライト部を紹介する無料ツアーが組まれており、私もこれに参加しました。ハイライト部のみを回るといっても1時間以上かかります。
(石を敷き詰めて描かれた古代ギリシャ時代の絵画)
古代ギリシャ時代、絵の具が未発達であり、人々は色のついた石を敷き詰めて絵画としました。カラフルな色遣いで作品が表現されており、古代ギリシャ人の芸術センスの高さをうかがわせます。当時は石の接着技術が未熟だったため、現在のように壁に描くと石が落ちてしまうため、絵画作品は床に描かれたそうです。
「アテネの学堂」はラファエロの作品ですが、中心にいるプラトンとアリストテレスは、ラファエロの同時代人であるミケランジェロとレオナルド・ダ・ヴィンチであるといわれています。この作品を見たミケランジェロは、自分が描かれていることに満足する一方、自分とレオナルド・ダ・ヴィンチが同格で描かれていることが不満で、画面の前方に自分の姿を付け加えたという逸話があります。
(システィナ大聖堂が忠実に再現されています)
ツアーではその他いろいろなお話を聞くことができました。なかでも、入ってすぐのところにあるシスティナ大聖堂の複製は圧巻でした。この「システィナ大聖堂」は紅白歌合戦で米津玄師がパフォーマンスを披露したことでも話題になりました。
大塚国際美術館には3時間ほど滞在して次の目的地に移動しました。3時間いても全く時間が足りません…。