「山陰めぐりパス」の旅 3日目① (路線バスで石見銀山・仁摩サンドミュージアムを見学)

3日目の午前中は、路線バスに乗り、石見銀山に向かいました。石見銀山では「世界遺産センター」で石見銀山の成り立ちや歴史的位置づけについて学び、その後、龍源寺間歩を見学しました。大森代官所跡周辺で昼食をとり、バスで仁万 (にま) 駅に向かい、仁摩サンドミュージアムを見学しました。

 

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(仁摩サンドミュージアムの屋上)

 

石見銀山

 石見銀山は、「石見銀山遺跡とその文化的景観」として世界遺産に登録されています。明治時代には枯渇しており、正式には「石見銀山遺跡」というそうです。戦国時代から江戸時代前期にかけて、日本では世界の銀産出量のうち三分の一を占めたといわれていますが、石見銀山は日本の銀産出量の大部分を占めていました。当時の銀は通貨そのものであり、石見銀山は富の源泉でした。したがって、数多くの権力者が支配をもくろみ、争奪戦が行われました。

 石見銀山鎌倉時代に発見され、戦国時代の始めには、大内氏が支配していましたが、尼子経久が侵攻し、大内氏と尼子氏による戦いが行われました。大内義隆の死後は、毛利元就と尼子氏による争奪戦が繰り広げられ、毛利氏による支配が確立しました。毛利氏が豊臣秀吉の配下に下り、石見銀山豊臣秀吉の管理下に置かれました。石見銀山の銀は朝鮮出兵の軍資金にも充てられました。関ヶ原の戦い後は、徳川家康と毛利氏の共同管理となり、江戸時代には幕府の直轄領となりました。銀山周辺は、鉱員とその家族や、銀の輸送に関わり人々によって大いに繁栄しました。温泉津 (ゆのつ) 温泉として有名な温泉津も、もともとは石見銀山の外港として発展しました。江戸時代に賑わった大森代官跡周辺は町並み保存地区になっており、今でも江戸時代ごろの街並みを楽しむことができます。

 朝、ホテルをチェックアウトし、大田市駅から大家行のバスに乗りました。8:47大田市駅発、9:20世界遺産センター着。料金は750円です。「石見銀山世界遺産センター」では、世界史の中での石見銀山の位置づけや、灰吹法とよばれる銀の精錬技術など、石見銀山について幅広く学ぶことができます。建物はそれほど広くなく、観光案内には所要時間30分程度と書いてありましたが、もう少しゆっくり見たいなと思いました。大人料金300円。

 

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(石見銀山世界遺産センター)

 

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(エントランスは木造の明るい雰囲気です)

 

今回はバスの時間があったので30分で出て、大森までバスで移動。10:00世界遺産センター発、10:05大森着。山道で高低差があるので、歩こうなどと思わずにおとなしくバスに乗るのがおすすめです。運賃は200円。ここから龍源寺間歩までは歩いて40分ほど。軽いハイキングになります。レンタル自転車屋さんもあるのでこれを利用してもよいかもしれません。

 

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(龍源寺間歩の入り口までは森の中をハイキングです)

 

 「間歩 (まぶ)」とは銀山採掘のために掘られた坑道のことです。龍源寺間歩もその一つで、常時公開されています。龍源寺間歩は江戸時代中期に開発された坑道で、銀山を代表する間歩である「五か山」のうちの1つです。坑道は630 m 続いており、現在はそのうち 157 m が公開されています。大森から龍源寺間歩までの徒歩移動が結構きつい!高地なのでまだ涼しいのですが、それでも真夏に40分も歩くと汗だくになりました。時々電動アシスト自転車が脇を通り抜けていくことがあり、とても気持ちよさそうでした。繰り返しになりますが、体力に自信のない方はレンタサイクルをお勧めします。坑道の中に入ると、先ほどまでの暑さがウソのようにひんやりとしていました。

 

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(間歩の入り口は木で補強されています)

 

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(壁はデコボコで、手掘り感が伝わってきます)

 

地下なので年間を通じて気温がほぼ一定になっているようです。坑道の側面はデコボコしていて、手掘りであることが伝わってきました。龍源寺間歩を出て、来た道を降ります。町並み保存地区を見学して、大森代官所跡からバスに乗るという段取りです。途中、渡辺家という地役人の屋敷跡があったので見学しました。庭付きの立派なお屋敷で、銀山の繁栄を偲ばせます。本来、銀山の繁栄が偲ばれるのは町並み保存地区に入ってからです。こちらも当時の屋敷がいくつか残っていました。また、石州瓦の赤茶色の屋根が美しく、この風景からも銀山の繁栄を偲ぶことができます。明治時代、大森地区には裁判所が置かれ、その建物が町並み交流センターとして公開されています。裁判官のマネキンが置かれており、裁判所の雰囲気を演出していました。

 

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(石州瓦の水瓶と昔ながらの赤ポスト)

 

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(いかつい屋根瓦)

 

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(保存地区の街並み)

 

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(裁判官のマネキン、ここにはかつて裁判所が置かれていました)

 

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(ラトちゃんも展示されていました)

 

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(石州瓦が美しい)

 

 昼食は大森代官所バス停近くの食堂でいただきました。歩き疲れた後に食べるトンカツ定食は絶品でした!

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(お昼にはトンカツ定食をいただきました)

 

・砂博物館へ

 ここからバスで仁万 (にま) 駅に移動し、午後は波子 (はし) 駅にある島根海洋館アクアスという水族館に向かいます。山陰本線のこの区間は運転本数が少なく、計画を立てる段階では乗り継ぎまで時間が余ってしまいました。そこで、仁万駅近くにある「仁摩サンドミュージアム」こと砂博物館を見学することにしました。こう書くと1日目で訪れた鳥取県の砂の美術館みたいなものかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、全く別物です (「砂博物館」で検索すると鳥取県の方が先に出てきます。「仁摩サンドミュージアム」で検索しましょう)。13:12大森代官所跡発の路線バスに乗り、仁万駅に向かいます。13:27着、運賃は440円でした。この日は出発からここまでバスの移動で1390円も使ってしまいました。特筆するほど高額ではありませんが、4日間乗り放題の山陰めぐりパスのありがたみがわかりますね。仁万駅のバス停から、迷わなければ10分もかからすに砂時計美術館につきます (山陰本線仁万駅とバス停の仁万駅が少し離れているので注意。線路を挟んで改札とバス停が反対側にあります)。

 

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(バス停から少し歩くと、ピラミッド型の建物が見えてきます。これが仁摩サンドミュージアムです)

 

 仁摩サンドミュージアムについて、事前に調べたところでは、「世界最大の一年計砂時計がある」、「『砂時計』という漫画・ドラマの舞台になった」、「建物がピラミッド風」ということがわかっていました。なので、そこまで見るものもないだろうと思い (仁摩サンドミュージアムの方すいません)、1時間ほどの見学時間しか取っていませんでした。しかし、入ってみると砂について学術的な解説がなされており、とても勉強になりました。私は砂の専門家ではありませんのでここでの解説は控えます。砂について興味のある方は、ぜひ、仁摩サンドミュージアムを訪れてみてください。この砂の性質が、砂時計の仕組みやトンネルの構造に大きく関わっているそうです。また、砂時計に入れる砂はどんなものでも良いわけではなく、ある程度粒がそろっていないと使えないそうです。粒が不揃いだったりホコリなどが混ざっていたりすると、くびれの部分に詰まって砂時計の役割を果たしません。砂時計は単純な構造ですが、砂の精製やくびれ部分の製造には高い技術が求められるということでした。

 仁摩サンドミュージアムの一年計砂時計ですが、これは、もともと仁摩周辺には「鳴き砂」という音が鳴る砂があり、これをPRするために「鳴り砂」を使った一年計砂時計を作ることが計画されました。ところが検討を重ねるうちに、仁摩の鳴り砂は粒が大きく、一年計として使うには量が多くて重くなってしまうため、別の場所で採取された砂を使うことになったそうです。その辺の事情も学術的に丁寧に解説されていました。

 そのほか、世界のいろいろな砂時計や全国各地の砂も展示されていました。もっと長く見学したかったですが、列車を一本でも遅らせると旅程が崩壊してしまうため、14:30には出発し、仁万駅に向かいました。これから「アクアライナー」に乗り、波子駅まで向かいます。

 

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(博物館の中にあったオブジェ)

 

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(一年砂時計はピラミッドの中に格納されています)

 

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(各地の砂も展示されていました)