青春18きっぷで日帰り旅行 (ムーンライト信州→長野・新潟・群馬を巡る旅①)

快速「ムーンライト信州81号」は新宿から大糸線白馬駅 (長野県北安曇郡白馬村) に向かう臨時の夜行快速列車です。立山をはじめとする長野県の山を目指す登山者をターゲットとした列車で、2018年の夏季は7月20, 21日、8月3, 4, 10, 17, 18 日、9 月 14, 15, 21, 22 日に運転されています。登山者が主な利用者である一方で、

青春18きっぷ利用期間には520円の座席指定券を追加すれば格安で乗車できること、

②「サンライズ瀬戸・出雲」や「ムーンライトながら」とともに日本に残る数少ない夜行列車であること、

③使用車両が最後の189系電車であること、

などから鉄道マニアからの人気も高く、チケットが取りにくい列車となっています。私もこのような事情は聞きかじっていたのであえてこの列車に乗車しようとは考えていませんでしたが、たまたま指定券をとることができました。今回は「ムーンライト信州81号」を利用した日帰り旅行記を書きたいと思います。

 

f:id:tyoutyouuo:20180723235707j:plain

(白馬駅で回送を待つムーンライト信州81号)

 

 

・はじめに

7月某日、私はなにげなくJR の空席案内サービスサイト「サイバーステーション」で遊んでいました。「週末のムーンライト信州空いてないかな~」「△だと?空いてるじゃないか!!!」というわけで、JR東日本のきっぷ予約サービス「えきネット」を利用して瞬時に押えました。読者の皆さんの中には「でもムーンライト信州って登山者向けでしょ?tyoutyouuoさんモノ好きだね~」と思う方もいらっしゃるかもしれません。でもあなどるなかれ。ムーンライト信州を利用することで、かなり広い範囲を格安でめぐることが可能になります

ムーンライト信州81号」は新宿23:54発ですが、立川0:29発です。つまり、立川から青春18きっぷを利用して乗車し、普通列車のみを乗り継いでその日のうちに帰ってくれば、切符代は青春18きっぷ」1回分2370円ムーンライト信州81号」指定券520円を合わせた2890円で済むのです。

今回、実際に私がまわった経路は、立川 (0:29発)→白馬→(大糸線)→糸魚川→(えちごトキめき鉄道)→直江津→(ほくほく線)→越後湯沢→(上越線)→土合、谷川岳→(上越線)→水上温泉→(上越線高崎線)→東京 (22:51着) というものでした。えちごトキめき鉄道 (糸魚川直江津670円) とほくほく線 (犀潟‐六日町950円) はJRではなく第三セクターの運営であり別に料金がかかりますが、十分なコストパフォーマンスでしょう。地図で表すとこんな感じになります。

f:id:tyoutyouuo:20180724000006p:plain

(青は立ち寄りスポット、赤は分岐駅・乗換駅)

 

・立川→白馬

最寄りの三鷹駅に0時を過ぎてから入場し0:26に立川駅に到着。続行で「ムーンライト信州81号」がやってきました。立川駅にはたくさんの「撮り鉄」たちが待ち構えていて、ムーンライト信州の写真を撮っていました。やはり最後の189系はすごい人気です。このあさま色189系N102編成はいつも長野にいて東京ではなかなかお目にかかれないのでなおさらでしょう。私も彼らに混ざって撮影し、乗り遅れないように急いで車内に入りました。

f:id:tyoutyouuo:20180724000204j:plain

(ムーンライト信州81号は旧あさま色189系N102編成で運転)

 

私が押えたのは6号車の通路側席です。明日に備えて眠るため、リクライニングを倒そうとすると「ガチャッ」という音が…。なんと簡易リクライニングシートでした。平成最後の夏に簡易リクライニングシートに座れるとは、なんか感動してしまいました。後で調べてみたところ、6号車のみが簡易リクライニングシートで、後の車両はホンモノのリクライニングシートにグレードアップされていると知り、残念な気分になりましたが、まあいいでしょう (いや、鉄道マニアならこの幸運を喜ぶべきか)。八王子発車後に検札してもらって、イヤホンアイマスをつけ、ひとまず就寝しました。「ムーンライト信州」も「ムーンライトながら」も消灯せず、電車の走行音やまわりの音もありますので、快眠したければイヤホンとアイマスクは必需品です (横にならないとぐっすり寝られないという方は…、あきらめましょう)。

翌朝、5時ごろに目が覚めました。列車は松本駅を過ぎ、大糸線に入っていました。なにげなく外を見ると、湖面に雲が反射しているではありませんか!大糸線の車窓がこんなに美しかったとは、一瞬で目が覚めてしまいました。洗面所で顔を洗って歯磨きをし、昨晩買っておいたパンを食べていると鉄道唱歌の車内チャイムが入り「間もなく白馬です」というアナウンスが流れました。

f:id:tyoutyouuo:20180724000451j:plain

(大糸線の車窓は美しい)

 

白馬駅5:40着。ここでも数多くの鉄道マニアが下車後に写真撮影をされており、私も負けじと写真を撮りました。次の列車は6:56の南小谷行です、さて何をして時間をつぶそうか。

f:id:tyoutyouuo:20180724000609j:plain

(みんな大好きムーンライト信州号)

 

f:id:tyoutyouuo:20180724001052j:plain

(白馬駅信濃四ツ谷駅として開業)

 

白馬駅前の商店で6時から自転車を借りられるということだったので開店と同時に借りました。おじさんが自転車を出してくれましたが、やたらと三段変速であることを強調してくれます。たしかに変速ギアが付いているとありがたいですが。白馬大橋が絶景ポイントとのことだったので、そこまでサイクリングすることにしました。自転車をこぎ出して、はじめておじさんの優しさに気が付きました。白馬駅から白馬大橋まで、ずっと緩やかな上り坂になっていたのです。橋に着くころにはヘトヘトになってしまいました。

f:id:tyoutyouuo:20180724000802j:plain

(白馬大橋から眺める空、山、川)

 

橋にはすでに別の自転車の一団がいました。彼らの自転車はその辺の商店で借りたママチャリではなくてロードバイクのようです。それ以前に服装が完全にサイクリストのそれでした。どうやらこの日はサイクリングのイベントがあったようです。白馬駅までの帰り道でもたくさんのサイクリストの一団とすれ違いました。白馬の上り坂をもろともせずに駆け抜けていきます。私には下り坂だったので快適でしたが。

f:id:tyoutyouuo:20180724000933j:plain

(サイクリストの皆さんがんばれ~~)

 

・白馬→糸魚川直江津

白馬6:56発、南小谷7:15着。ここで20分の待ち合わせ。改札を出て駅前をブラブラしていました。南小谷を境に松本方面は電化区間糸魚川方面は非電化区間となり、輸送体系が大きく変化しています。また、南小谷から松本方面はJR東日本の管轄、糸魚川方面はJR西日本の管轄となっており、管理者も変化しています。したがってここから先はJR西日本区間日帰り旅でJR西日本区間に入ってしまいます。

駅に戻ると乗り継ぎの列車が待っていました。なんとキハ120系の2両編成!(この区間ではいつも走っている形式ですが) キハ120系は「軽快気動車」と呼ばれ、山間部で線形が悪く需要もそれほど見込めない区間を軽快に (低コストで) 走ることを目的に作られた車両です。だから車両の長さも16 m と短めです。ちなみにここまで乗ってきた E127系は 20 m で一般的な通勤電車と同じです。ここまでも2両編成だったので両数は同じ、ただし長さは0.8倍、ということで座席数が少ないため、車内はそれなりに混雑していました。

f:id:tyoutyouuo:20180724001328j:plain

(白馬‐南小谷で乗車したE127系)

 

f:id:tyoutyouuo:20180724001350j:plain

(南小谷糸魚川で乗車したキハ120系)

 

南小谷7:39発、隣の席の方が朝ご飯を食べていました。私も小腹がすいてきたので南小谷の駅前の商店で何か買っておけばよかったと思いましたが、後悔してもしかたがありません。大糸線ダイナミックな車窓を眺めて気を紛らわせました。

8:36糸魚川着。乗り換えのえちごトキめき鉄道の列車が待っていたので、さっそく車内に入りました。なんだかおしゃれなシートです。ボックス席の1席を確保して改札を出て糸魚川直江津の乗車券を買いました。

f:id:tyoutyouuo:20180724001631j:plain

(えちごトキめき鉄道は名前だけじゃなく車両もオシャレ)

 

f:id:tyoutyouuo:20180724001735j:plain

(えちごトキめき鉄道は名前や車両だけでなく内装もオシャレ)

 

青春18きっぷでは第三セクター運営のえちごトキめき鉄道には乗れないのでやむをえません。ここまで一緒に乗ってきた皆さんも同じように乗車券を買い求めています。この区間は元北陸本線ですが、北陸新幹線の開業に伴って経営分離されました。整備新幹線の弊害といったところでしょうか。話せば長くなるのでこの辺でやめておきましょう。

糸魚川駅北陸新幹線の駅でもあり、駅前にキハ52がいたり、大きなヒスイの原石があったりして、観光スポットとして整備されていました。と、それらに気を取られていてまたもや食料を調達し損ねてしまいました。

f:id:tyoutyouuo:20180724001909j:plain

(キハ52系。かつて大糸線を走っていたようです。)

 

糸魚川8:53発。車窓には日本海が広がり、遠くへ来たなという感じがします…、寝落ちしてしまって気づいたら直江津についていました。ホームに降りると向かい側にこれまたおしゃれな観光列車が止まっていました。えちごトキめき鉄道はオシャレな鉄道会社のようです。直江津駅の駅舎もオシャレ、船室をイメージしているようです。直江津は港町としての一面もあり、豪華客船「飛鳥」が寄港したり、佐渡島と本州を結ぶ佐渡汽船のターミナルがあったりします。

f:id:tyoutyouuo:20180724002107j:plain

(えちごトキめき鉄道の観光列車「雪月花」)

 

f:id:tyoutyouuo:20180724002132j:plain

(直江津駅には「越乃ShuKuraも入線するらしい)

 

f:id:tyoutyouuo:20180724002200j:plain

(船室をイメージしたコンコース)

 

次回以降は、直江津を観光した模様、ほくほく線スノーラビット乗車記、土合・谷川岳レビュー、水上温泉レビューと続きます。