JAMSTEC 横須賀本部 施設一般公開に参加

 5月12日にJAMSTEC (海洋研究開発機構) 横須賀本部の一般公開がありました。その様子をお伝えします。

品川→追浜→JAMSTEC横須賀本部

 9時過ぎに品川駅から京急線に乗車。快速特急金沢八景駅まで飛ばしました。多摩民の私にとって、京急線は専ら羽田空港に向かう時に使うだけなので、本選を走るのは新鮮でした。JAMSTECの最寄は金沢八景駅の1つとなりの追浜駅なので、金沢八景駅で普通に乗り換えです。各駅停車の事を「普通」と呼ぶのは関西の鉄道に多いのですが、京急線は関東では珍しく各駅停車を「普通」として扱っているようです。

 

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(金沢八景駅で普通 浦賀 行きに乗り換え。京急線の乗り換えは多摩民には難易度が高かったです)

 

さて、金沢八景駅で落とし穴が…快特金沢八景駅に到着すると同じホームの向かい側に普通が待っていました。「これに乗りかえればいいんだな~」と思い、普通電車に乗って待っていると、快特の発車後にエアポート急行が入線してきました。私が乗っている普通は待避線に、エアポート急行は本線に入ってきたので、私は、「普通はエアポート急行をやり過ごしたから発車するのかな~?」と思いながら待っていました。ここで、「エアポート急行は各駅に停車します」というアナウンスが聞こえたので、追浜駅に早く着きたい私は急いでエアポート急行に乗り換えました。と、その瞬間に、先に普通が発車。私の脳内には?マークが…。それでも、「急行も各駅に泊まることだし普通を先に出しても同じことか、」と呑気に構えていました (脳内お花畑なので…)。ここでエアポート急行の行先を見ると「新逗子」となっていました。駅の案内板をよく見ると、金沢八景駅からは本線の他に逗子線が分岐しており、エアポート急行は全て逗子線に乗り入れることがわかりました。つまり、追浜駅まで行くには本線を走る普通に乗る必要があったのです (京急ユーザーにとっては当たり前のことをネタにして字数を稼いでしまいました…)。慌ててエアポート急行を降りて次の普通を待つことに。10分ほどで次の列車に乗り込むことができました。

 

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(急行 新逗子 行き。金沢八景駅では私の京急偏差値が試されました。結果はFランクでした…)

追浜駅には10:10頃に到着。駅には長蛇の列ができていました。JAMSTECに向かう人々の行列のようです。年に一度の公開日だけあって皆さん気合が入っておられるようです。この日はJAMSTECまで数分間隔でシャトルバスが出ていたのですが、乗車まで30分ほどかかってしまいました。余談ですが、私は列車で移動するときはいつも文庫本を

読んでいます。この日は往路で読了してしまったのでこの30分間やることがなくてとても退屈でした…。一般公開日にJAMSTECを訪れる際には暇つぶしの道具を忘れずに!

 

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(追浜駅は長蛇の列!これには驚かされました)

 

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(一般公開日にはJAMSTECまで無料のシャトルバスが出ていることは事前に把握していました。それなのに乗車まで30分とは…)

 

 JAMSTEC横須賀本部!

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(「JAMSTEC探検マップ」。どういう順番でまわろうかな)

 

JAMSTECには11時ごろに到着。受付で「JAMSTEC探検マップ」なるものをもらいました。結構広いようです。私はまず、「よこすか」に向かいました。「よこすか」は深海潜水調査船支援母船と言って、一言でいうと「しんかい6500」の母船です。毎年異なる調査船が公開されるようなのですが、今年は「よこすか」が当番にあたっていたようです。一日で大量の一般人をさばく調査船の気持ちってどんな感じなんですかね…。船内見学には行列ができていたので空いたタイミングで見学することにして「無人探査機整備場」と「潜水調査船整備場」を見学することにしました。ここでは「うらしま」、「HYPER-DOLPHIN」、そして「しんかい6500」が展示されていました。「うらしま」は自律型の深海探査機で、海底の地形図を作るために役立てられています。「HYPER-DOLPHIN」も無人の探査機ですが、こちらはハイビジョンカメラの映像をもとに船上の操縦者が操作します。「HYPER-DOLPHIN」は光ファイバーケーブルで母船とつながっており、リアルタイムで送られてくる映像をもとにして操作することができます。「しんかい6500」は海中6500 m まで潜行可能な有人探査船で、世界で7 隻しかない有人の深海探査船のうちの1隻です。「うらしま」と「しんかい6500」は「よこすか」を母船とし、「HYPER-DOLPHIN」は「かいよう」を母船としています。メディア露出が多く知名度の高い彼らにはたくさんの人が集まっていました。

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(「うらしま」。カメに導かれなくても自律的に海中を移動します)

 

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(「HYPER-DOLPHIN」。イルカのような俊敏な動きをするとは思えませんね)

 

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(「しんかい6500」。大勢の人に囲まれていました)

 

次に、「深海総合研究棟」に向かいました。ここでは新江ノ島水族館油壺マリンワールドから水槽が出張で来ていました。また、有孔虫の3D拡大模型が展示されていました。有孔虫は石灰質の殻を持つ原生生物の仲間で、殻の形は様々です。係員さんに勧められていくつか持ち上げてみると、同じ大きさのものでも重いものと軽いものがありました。実は、この模型は実物の有孔虫をスキャンして作ったもので、最近は殻が薄い個体が出現しているようです。持ち上げて軽かったものは殻が薄い個体をもとにして作った模型で、近頃は海水の二酸化炭素濃度が上がって殻が溶けてしまい、殻の薄い個体が現れているようです。有孔虫は海の生態系の基礎を支える生物群であり、有孔虫の殻が薄くなって発育が損なわれると、海の生態系が崩れてしまう恐れがあるそうです。身につまされる話ですね。

 

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(有孔虫の3D拡大模型。実際の大きさは数 mm 以下です。海中でこのサイズで目の前に現れると飛び退いてしまいそうですね)

 

続いて「多目的プール棟」を見学しました。ここでは岩手県立種市高校の生徒さんによる南部もぐりのデモンストレーションが行われていました。南部もぐりとは約70 kg の装備を身に着けて海中に潜水するもので、3 – 5 時間海中にいられます。通常のスキューバダイビングでは潜水時間は1時間程度ですから、それよりも長く潜水できますね。南部もぐりを教わることができるのは日本では種市高校海洋開発科だけ!潜水士は高卒ではトップレベルの収入を得られるそうですよ!

 

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(多目的プール棟のプール。水族館の水槽みたい!)

 

多目的プール棟を出て、いよいよ本館に向かいました。といっても博物館ではないので目玉の展示物があるわけではないのですが… (人を集めていたのはやはり「よこすか」と探査機たちでしょうか)。ここでは深海探査コンペティションに出場する “Tean KUROSHIO”の紹介が行われていました。深海探査コンペティションShell Ocean Discovery XPRIZE” は深海における無人探査ロボットを用いた海底マッピングの実現を競う国際技術コンペティションです。”Team KUROSHIO” は日本の8機関から編成されたオールジャパンのチームです。クラウドファンディングによる支援を受け付けているそうです (私はTeam KUROSHIO の回し者ではありません)。

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(チームクロシオ製作の「Aqua Explorer 2000」)

 

また、探査機によって撮影した深海デブリの写真展も行われていました。もとは人間たちによって海に捨てられたゴミでもここまで来ると趣があるものです。だからと言って海にごみを捨ててはいけません。国際海洋環境情報センターでは「深海デブリデータベース」なるものを整備しており、深海デブリの様子を計時的に観察することができます。

www.godac.jamstec.go.jp

 

さらに、ここでは地球シミュレータペーパークラフトもいただきました (そこまで特筆するポイントでもないか…)。本館では、公開講演が行われており、私は「ラジオゾンデ観測でとらえる大気中の波」を聴講しました。ラジオゾンデは、上空の気温、湿度、風向、風速等の気象要素を観測する気象観測器で、風船に付けて上空に飛ばします。柳田邦男「空白の天気図」(新潮文庫) では、戦時中や終戦直後の台風接近時でも気象観測を怠らない広島気象台員たちの姿が描かれており、個人的に気象観測者というと厳めしいイメージでしたが、今回の講演者の方は穏やかな雰囲気でした。大気の波が雲として見えるということがわかり、私も雲に興味がわきました (きれいにまとまりましたね!)。

昼時になったので食堂「親海亭」で昼食をとり、その後、「海洋科学技術館」を回りました。ここでは、「スプラトゥーン」とのコラボ展示があったほか、2017年に国立科学博物館であった「深海展」の展示が一部再展示されていました。

 

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(Jamsteeecのポスター。どこぞの覆面音楽グループみたいですね)

このあたりで力尽きて帰ろうかと思ったのですが、「よこすか」を見学していないことを思い出し、最後に「よこすか」の船内を見て帰ることにしました。結局行列がなくなることはなく、朝と同じぐらいか少し伸びた行列に並び、20分ぐらいかけて船内に入りました。まずは操舵室へ。操舵室には様々な機器が並んでいて、これらの機器の情報をもとに船を操舵するのは大変なように思いましたが、「よこすか」規模の船だとだいたい3人で操舵するそうです機動戦士ガンダム」でホワイトベースのブリッジに何人ものクルーが詰めている絵を見慣れている私としては、とても意外に感じました。キャビンは研究者の居室や実験室、会議室、食堂などが並んでいました。甲板の後ろ半分は格納庫になっていて、ここに「うらしま」や「しんかい6500」を積み込むようです。探査機たちが一番広いスペースを使っているようでした。

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(「よこすか」。たくさんの乗客を乗せて、今からどこに向かうのでしょうか)

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(「よこすか」操舵室の羅針盤)

 

帰りはシャトルバスで追浜駅まで戻り、金沢八景までは普通電車に乗車、金沢八景から品川まではクロスシートの乗り得電車2100形に乗車しました。疲れていたので快適なクロスシートでぐっすり眠ってしまい、目覚めると品川に着くところでした。ちなみに品川駅にはリラックマがいました。この日はリラックマコラボ電車 (リラックマ15周年×京急120周年記念 一緒にごゆるりお祝いキャンペーン) の運行期間にあたっていたようです。

 

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(2100形クロスシート。赤い水玉模様がオシャレです)

 

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(品川駅にいたリラックマ)